「もうトレンドではない」…超音速航空機スタートアップはなぜ失敗したのか(海外)
お金も時間もかかる
超音速飛行はコンコルドによってすでに何十年も前に実現されている。コンコルドは最短3時間で大西洋を横断し、約30年間商用運航されていた。 しかし、コンコルドの運営には莫大なコストがかかってしまって悲惨な状態になり、その結果、業界が飛行の中止を決断するに至るという深刻な状況を招いた。 「投資家の中には、超音速商用航空機の製品の開発期間は長すぎるし、資本負担が大きすぎると指摘する人もいた」と彼は言い、「マッハ飛行の旅客機の開発が、最初の2年間の同社の最優先課題だった」と付け加えた。 タイによると、数十億ドル以上の資金を投入しても新たな超音速機の製造、認証、納入には10年から15年はかかるという。それも、サプライチェーンや設計の問題や遅れの可能性、その他の予期しない要因が発生せず、追加の予算が必要にならない場合の話だ。 タイはエンジンメーカーが超音速機に投資していないことも、航空業界の最重要要素のひとつである「推進力」を妨げていると話している。 ブーム・スーパーソニック(Boom Supersonic)もまた、超音速のエンジンを開発するスタートアップ企業だが、従来型のジェットエンジンに注力する大手エンジンメーカーとの取引に失敗したため、自社でエンジンの製造を余儀なくされている。ブーム・スーパーソニックは創業から約10年が経過し、サブスケールの試作機を開発している。 「ブーム・スーパーソニックは超音速機の製造に最大80億ドル(約1兆2491億円)かかると言っているが、それでも低い数字だ」とタイは言う。 「同社の公募では10億ドル(約1561億円)にも満たない額しか調達できていない。道のりは長く、どうやって完成させるのか、私にも分からない」 ブーム・スーパーソニックは、2029年に飛行予定の超音速ジェット機オーバーチュア(Overture)について、アメリカン航空(American Airlines)とユナイテッド航空(United Airlines)から数十億ドル相当の注文を受けたと発表した。 アメリカン航空は最大20機、さらにオプションで40機を購入することで合意し、一方、ユナイテッド航空は15機を発注し、さらにオプションで35機を発注しているという。