J1名古屋 公式戦に小学生1万人招待 初企画の裏に厳しい現実も
単純計算で700万円以上の入場料収入をゼロに
ホームゲームに小学生1万人を無料招待します──。サッカーJ1・名古屋グランパスは5月4日、愛知県豊田市の豊田スタジアムで開く横浜F・マリノス戦(明治安田J1第1ステージ第10節、午後2時キックオフ)に、最大1万人の小学生を無料招待する初の試みを行う。小学生が公式戦を観戦する場合、最も安いチケット価格は前売り1人700円。単純計算で700万円以上の入場料収入をゼロとする大胆な企画の背景には、クラブを取り巻く厳しい現実と、それを打破しようと奮闘するスタッフの姿があった。
試合日がホーム地域全ての人に特別な日となるように
今年1月、グランパスの2016シーズン新体制発表会が名古屋市内であり、多くのサポーターが詰めかけた。その中で明かされたある数字に、来場者からざわめきが起こった。 それは観戦者に対して「自分はグランパスのファンであることを重要と思うか」などを質問し、その答えからクラブに対する愛情の度合いなどを見る、アイデンティフィケーション調査の最新版結果。グランパスは調査対象の2014年J1の18クラブ中、17位だった。これは、売り上げや観客数の伸び悩みを裏付ける結果で、関係者はもちろん、サポーターらにも衝撃を与えた。 その状況を変えていくため、グランパスはクラブとしての使命や目標を再確認。今シーズンは試合の戦績はもちろん、地域や企業と連携し、試合日がホームである地域全ての人にとって特別な日となるように、関連イベントを展開するなど、集客にも力を入れることにした。この取り組みの一環として初めて企画されたのが、小学生1万人無料招待だ。 企画全体を仕切るプロジェクトリーダーの堀江亮太さん(30)はアイデンティフィケーション調査で17位だったことについて「(グランパスが)愛されていないと示されたようで衝撃だった」と感想。「1度もグランパスの試合を目の前で見たことがないという人に、気軽に来てもらえるようにしていきたい」と力を込めた。