“他人軸”から“自分軸”へ変わった40代。不安をエンジンにして、次のステップへ【ライター・編集 一田憲子さん】
早起きの習慣も続かない!『暮らしのおへそ』のヒントに
そんな中、一田さんが43歳のときに始まったのが、18年続くムック『暮らしのおへそ』シリーズです。 「ちょうどその頃、今の家に引っ越して、人生を新たにしたような気持ちになって。今までは夜型生活で遅い時間まで仕事をしていたのですが、『朝型にして、早い時間に廊下のぞうきんがけをしよう!』なんて思っていたんです。ところが、引っ越しただけで朝型生活に変われるわけもなく。早起きという習慣をひとつ実践するだけでも、こんなに難しいんだと痛感。 当時、インテリアや料理などではなく、新しい切り口のライフスタイルのテーマができないかなとも考えていて、編集者に何かやりたい企画はないかと聞かれたときに『習慣を切り口にしたい』と話し、『暮らしのおへそ』が生まれたんですね。大きな人生の舵を切ることはいろいろなタイミングが合わないと難しいけれど、小さな習慣を変えることはすぐにでもできる。『習慣には、明日を変える力がある』が『暮らしのおへそ』の副題なんです。引っ越しで環境を変えて、40代でこれに気づけたことは大きな収穫でした。 私自身どんどん習慣をアップデートしていて、苦手な掃除は毎日30分やれば1回が丁寧でなくてもきれいが保てる、と聞いて取り入れたり、日記を書くことは三日坊主でなかなか続かないので、湯船にぼーっとつかる時間を使って書いてみたり。また、最近はテニスにハマっていて、以前は原稿の締切があるのに出かけるなんて考えられなかったのですが、今ではレッスンを優先して必ず行くように。これも大きな習慣の変化ですね」 さらに、40代での気づきから、夫婦関係の見直しもしたそう。 「かつては『忙しいのに、また私だけがごはんを作らなきゃいけない』などと、プリプリ怒っていて。今以上に頭の中が仕事モードで、何かを成し遂げないと、自分の存在意義はないと思っていたんですね。でも、他人からの評価を得ても、幸せは持続しないということがだんだんわかってきた。自分なりの本当の幸せを考えたときに、夫と縁側でお茶をしたり、ごはんを食べておいしいよねと言えることが大切だなと。私の怒りをいつも黙って受け止めてくれていたなと思うと貴重な存在にも感じて(笑)、夫のことをもっと大事にしようと思うようになりました」
先輩はこう振り返る!
・不安を原動力に、少しずつアクションを起こしていた ・自分が苦しくなる要因を知り、40代ではそれを手放してみる ・40代で“習慣”の大切さに気づけたことは大きな収穫 Staff Credit 撮影/メグミ 取材・原文/野々山 幸(TAPE) こちらは2024年LEE5月号(4/6発売)「揺れる40代、小さくて大きな“種まき”ストーリー」に掲載の記事です。