“他人軸”から“自分軸”へ変わった40代。不安をエンジンにして、次のステップへ【ライター・編集 一田憲子さん】
子育て、仕事、体の変化…次なるフェーズのために 揺れる40代、小さくて大きな“種まき”ストーリー
結婚して家事、育児、仕事にがむしゃらだった30代を経て、行き詰まり感や新たな悩みが出てくる40代。よりよい50~60代を迎えるために、前向きな“種まき”をしておきたい! 先輩の声から、今できることを考えませんか?
憧れの先輩たちに40代を振り返ってもらいました \50代以上の先輩が/ 40代でやっておいてよかったこと
年を重ねてますます自分らしく生きている先輩は40代特有のモヤモヤとどう付き合ってきたの? 一田さんの経験談には重みと学びが! 「40代は“習慣”を変えようと奮闘していた時代。そこから、今につながる仕事も生まれました」── 一田憲子さん
編集者・ライター 一田憲子さん
いちだ・のりこ●1964年、京都府生まれ。OLを経て編集プロダクションへ転職後、フリーライターに。暮らしまわりを中心に、書籍、雑誌で執筆。ムック『暮らしのおへそ』『大人になったら、着たい服』(ともに主婦と生活社)などでは企画・編集に携わる。著書に『歳をとるのはこわいこと?』(文藝春秋)、『すべて話し方次第』(KADOKAWA)など多数。WEBサイト「外の音、内の香」主宰。 Instagram:ichidanoriko2024
不安をエンジンにして、次のステップを模索していた
フリーランスとしての活動を始めて、無我夢中で駆け抜けた30代。いったん立ち止まったのが40歳頃だと、一田さんは振り返ります。 「依頼があった仕事はすべて引き受けて、考える暇もなくて。ただただ疲弊していくのを感じ、その歩みをゆるめたのが40代に入ってからでした。それと同時に、フットワークが軽い若い世代のライターさんがたくさん出てきて、私はこのまま仕事がなくなって枯れていくのかもしれないという焦りも。何者かにならないと生き残れない、みたいな切迫感もあり、不安をエンジンにして、次のステップを模索していた時代でした。 今思うと、心配なのは全然ダメなことじゃないと思うんですよ。不安でヒリヒリするからこそ、神経がとがってアンテナが張られて、喜んだり落ち込んだりできる。今の私に、その感覚は取り戻せないと思います。ただ、やっぱり何かアクションをしないと不安からは抜け出せないので、あれこれと考えては動いて。年上の素敵な方たちに私の思いをぶつけてお話を聞き、『彼女たちの年齢革命』という本を作ったりもしました」 また、当時は周りに合わせすぎてしまい自分らしさが出せず、悩んだことも。 「私のカメレオン時代と呼んでいるのですが(笑)、フリーで仕事をもらう立場なわけだから、編集者やスタッフに合わせなければいけない、と。自分は特にいいと思わなくても、編集者が好きだと言うものを好きだと思い込もうとしていたんです。でも、続けるうちにめちゃくちゃつらくなってきて。やっぱり心からいいと思えるものを好きだと言いたいと考え直し、“他人軸”から“自分軸”へ移り変わった時期だったかなと思います。 当時一緒に仕事をしていたカメラマンさんに『やりたいような仕事じゃないときも、必ず自分の意見をひとつは言うようにしている』と聞き、私もまねして実践してみたり。自分が苦しくなるようなことを認識して、それを少しずつ変えたり、手放したのが40代でしたね」 「40代で身についた“習慣”は、その後の人生を豊かに」── 一田憲子さん