フィンランドでベーシックインカム導入と“誤報” 実際の進ちょく状況は?
世界における「給付実験」の歴史
ベーシックインカムについての懸念として代表的なものは、人は働かなくなるのではないか、ということです。この点について、実際人々がどう行動するか実験しようと、ベーシックインカムや類似の制度の給付実験が各地で行われています。 1970年代にはアメリカとカナダで、今世紀に入って、ナミビア、ブラジル、インドで行われており、いずれも傾向としては、人々が生産活動に従事することを辞めたりはしない、という肯定的な結果が得られています。紹介したフィンランドの動きもこうした流れにつながるものです。オランダでは複数の都市で、実験をしようという動きがあり、そのうちユトレヒト、ティルブルグ、フローニンゲン、ワーゲニンゲンの4都市は現在共同で、財務省と交渉中です。
■山森亮(やまもり・とおる) ベーシックインカム世界ネットワーク理事。同志社大学教授。『ベーシックインカム入門』(光文社新書)、『貧困を救うのは、社会保障改革か、ベーシックインカムか』(共著、人文書院)、『Basic Income in Japan』(共編、Palgrave Macmillan)他