ニュースでよく見る「バーチャルリアリティ」ってどんなもの?
2016年は、コンピューター上で現実を疑似体験する「バーチャルリアリティ(VR)」の元年だと言われています。ゲーム機やパソコンに対応したVRデバイスが次々と発売されているからです。バーチャルリアリティという言葉は、実際によく聞くようになりましたが、まだ体験していない人も多いでしょう。VRは、いったいどんな技術なのでしょうか? VRの世界とは? 「Project Morpheus」体験会 イベントリポート
VRというのは、virtual realityの略です。日本語では仮想現実という訳語が当てはめられますが、英語のvirtualは事実上のという意味。「事実上の現実」ですから、「仮想」よりも強いニュアンスがあります。いずれにしても、それは現実ではないのに、ゴーグルやヘッドフォンを身につけたら、視覚や聴覚が、あたかも現実を体験しているかのようなデジタル体験ができるのです。「それだけで、本当にすごい体験ができるの?」。なかなかイメージできませんね。
体験が時間と空間を超える
今年3月12日、東京・渋谷の商業施設「パルコ」の屋上で、大変興味深いイベントが行われました。イギリスのミュージック・グループ「Underworld」の音楽ライブです。観客は200人と少なめ。しかし、そのライブの様子をネットで同時ストリーミング配信し、会場から少し離れた別のパルコ内に設営された二次会場で、VRを使って同時に音楽を楽しむという実験的な取り組みでした。 二次会場には、球体のイスが置かれていて、VRの体験者はそこに腰掛けます。次いで、ゴーグルとヘッドフォンを装着。すると、ライブの様子が大音響とともに目の前に映像が広がるという仕組みです。ただ単に音と映像でライブを楽しむのではありません。イスにはウーハーが埋め込まれていて、低音が響くと同時に振動も伝わってきます。イスはぐるっと回るようにできていて、後ろを振り向く代わりに、イスを回転させると背後に視点を移すことができます。上を見上げると天井の代わりに空が見えるといった具合で、ライブ会場の現場にいたわけでないのに、あたかもライブ会場にいるような“現実”を体験できるわけです。