古今亭佑輔、自作の怪談噺『寝子』で涼を届ける『第9回 ぴあ寄席』レポート
7月7日(日) 東京・らくごカフェにて『第9回 ぴあ寄席』が開催された。 『ぴあ寄席』は、演芸写真家・橘蓮二が注目する新進気鋭の芸人を紹介するプログラムで、第9回は古今亭志ん輔門下の二ツ目・古今亭佑輔が登場。滑稽噺と怪談噺をそれぞれ一席ずつ披露した。 【全ての画像】『第9回 ぴあ寄席』の模様ほか(全9枚) 橘さんからの紹介を受けて佑輔さんが高座に上がると、マクラでは落語を聴きに来てくれた観客との縁の話から、あまり有り難くない出会いの話に。某電器店にて遭遇したクセの強い店員とのエピソードに、会場からは早くも笑いが起こる。そして、落語で縁といえば描かれるのは夫婦の話ということで、一席目に『加賀の千代』を口演。 『加賀の千代』は、遊んでばかりで働かない亭主とその尻を叩く女房を描いた滑稽噺。隠居にお金を借りるため女房が知恵を授ける場面での流れるような口上が素晴らしく、また後半のご隠居に金の無心をする場面では、開けっぴろげな性格の亭主を演じる佑輔さんの全身を使った表現に笑いが巻き起こった。 仲入りを挟んでもう一席は、夏ということで橘さんからリクエストされていた怪談噺。佑輔さんは怪談が好きで、去年より「佑輔怪談」として自身で創作した怪談噺を披露している。「一席目とは変わって、まったく笑いのない噺ですが、ぜひお付き合いいただければ」と前置いた上で、自作『寝子』を高座にかけた。 『寝子』は、吉原を舞台に、身請けしてもらうはずの大店の若旦那に裏切られた、花魁こはるの恨みと執念を描いた噺。橘さんが会の冒頭で佑輔さんのことを「所作が美しい」と語ったとおり、こはるが登場する場面などでの指先まで神経が行き届いた表現は、儚さとともに怖さを感じさせた。 本編を終えると、ふたり揃ってのトークコーナーに。佑輔さんは、今後も年にひとつは怪談噺を作ると宣言。橘さんは、佑輔さんの高座を称えつつも、ちょっとした面白エピソードを暴露し、会場の笑いを誘った。なお、佑輔さんはこの日披露した『寝子』の前日譚となる怪談噺『女』を創作しており、8月4日(日) らくごカフェで行われる『佑輔、サプライズ特別編 #4』にて二席同時公演する。 <公演情報> 『佑輔、サプライズ特別編 #4』 8月4日(日) 東京・らくごカフェ 開場 13:00 / 開演 13:30 【出演】 古今亭佑輔 『寝子』『女』