1匹の野良犬のおかげでアルコール依存から立ち直り…アイルランド人男性が生涯を捧げる犬の救済活動
約3年半前にアルコールの過剰摂取で死の淵をさまよったアルコール依存症の男性が、1匹の野良犬を救ったことがきっかけで立ち直った。今では国際的慈善団体を組織・運営し、野良犬救済に生涯を捧げているという。 【写真】英国の獣医が3Dプリントの特殊ねじで愛犬を救う! 脊椎の異常で瀕死の状態から見事復活 男性は現在、タイのサムイ島に住むアイルランド人のニール・ハービソンさん(44=写真は本人のXから)。米誌ピープル(8月27日付電子版)が独占記事で紹介して話題になっている。 元料理人でIT関連の起業家だったニールさんは、資本主義社会のハードな生存競争にうんざりして、アイルランドからサムイ島に移住。しかし恋人との破局と、新型コロナのまん延が重なってうつ病と不安症を発症し、酒浸りになった。 「1日にワインを4本以上、(うつ病治療用の)バリウムを3、4錠飲む」生活を2カ月以上ノンストップで続けたというニールさんだったが、2020年の12月31日にそれまで手を出していなかったウイスキーをがぶ飲みして、ついにダウン。 病院に搬送され、ICU(集中治療室)で3~4日、生死の境をさまよった。 「このままではダメだ」と感じ、何とか生きる希望を模索していたニールさんは、退院後まもなく、路上で1匹の飢えた野良犬に出くわした。犬はニールさんを悲しげな目で見ていたという。 ニールさんは近くのコンビニに行って食べ物を買い、その犬に与えた。そして翌日も同じ場所に行き、その犬に餌を与えた。 それが始まりだった。ニールさんは次々と野良犬に餌を与えるようになり、その数は4匹から8匹に、そして20匹に、数十匹にとどんどん増えていき、ついには数百匹に達した。 ニールさんはその活動をSNSで積極的に発信し、寄付などの支援を仰いだ。その活動に共感、共鳴する人から資金援助や活動支援が相次ぎ、ニールさんは野良犬救済の慈善団体「ハッピー・ドッゴ」を設立した。 今では餌を与えるだけでなく、さまざまな怪我や病気の治療を行い、不妊手術を施して数を管理し、里親探しを行っている。活動の規模は拡大し、現在では毎月5000件もの不妊手術を行っているという。 ニールさんによると、世界には5億匹の野良犬がいるそうで、それを半分の2億5000万匹に減らすことが目標だそうだ。 壮大な目標だが、ニールさんは「今44歳なので、あと30年、健康で生きられるかもしれない。簡単なことじゃないけど、素晴らしい使命だと思います」と語った。 それにしてもなぜ野良犬の救済に生涯をかけるのだろう? ニールさんは困難な状況にある野良犬の中に自分自身を見るという。 「がっくりと打ちひしがれている犬もいます。でもチャンスを与えられると、犬は立ち直るのです。私自身、今、こうして生きていられるのは本当に幸運なことだと思う。短い鎖につながれた犬の鎖を外し、その様子を見ると『これこそが私の感じていることだ』と思うんです。私も鎖を外されたのです」 ◇ ◇ ◇ 犬は最も古い人間の友。世界中に悲喜こもごものエピソードがあふれている。もっと読みたい人は、以下の●関連記事をどうぞ。