バド違法賭博問題で、いなくなる人が再発防止を約束したNTT東日本の違和感
NTT東日本は11日、裏カジノで違法な賭博行為を行った同社に所属するバドミントンの田児賢一選手(26)の解雇、桃田賢斗選手(21)の30日の出勤停止、及びバドミントン部の半年間の対外活動自粛という処分を発表した。合わせて違法な賭博行為にかかわっていた部のOB2人を含む他の6選手は「厳重注意処分」、管理責任を問い、バドミントン部の部長以下、副部長、総監督、監督の4人の解任も発表された。解任となった4人は、それぞれ部は離れるが、社員のままで社内的には「厳重注意処分」だという。 またNTT東日本の処分に先立って、日本バドミントン協会は臨時理事会を開き、桃田選手の競技会への無期限の出場停止と田児選手を無期限の登録抹消とする処分を決め、桃田選手のリオ五輪出場もなくなった。
なぜ、このような問題が起きたのか。 田児、桃田の会見での話を聞くだけでも、両者が社会モラルに欠け、トップアスリートの存在意義を履き違えていたのはよくわかる。人格の形成も未熟だった。そして2人の個人的責任だけでなく、指導者側の責任や、そのあり方も問われるべきだろう。テレビ局の取材に対し桃田の小学生時代の恩師が、社会人に入ってから生活が荒れ、アスリートの肉体ではなくなっていたことを指摘していたが、NTT東日本の管理責任も大きい。 田児、桃田の2人が犯した罪と、社会的な責任、バドミントン界だけでなくスポーツ界全体に及ぼした影響について、これ以上糾弾するつもりはないが、なぜこのような問題が起きたのか、再発防止をどう図るのかを考察する中で、違和感を持ったのは、所属しているNTT東日本の管理責任と対応だ。
この日、バドミントン部の部長、副部長、総監督、監督の4人が、管理監督責任を問われ解任されたが、8日に行われた会見で、今後の部内の再発防止や再教育活動などについて、記者の質問に答える形で説明していたのが、今回解任されたバドミントン部の奥本雅之・部長だったのだ。 それが部長としての“最後の勤め”だったのかどうかは知らないが、ヒアリング調査を行い、会見の冒頭で謝罪と今後の社、部の方針を語り、「指導の仕方、管理体制も含めて問題があったというふうに重く受け止めておりますので、今後、これをきっかけに再発防止策をきちっと作って再発防止のための教育を徹底したい」と、何度も世間に対して“公約”していた人が、今後は、もう部にいないのだ。 HP上に「今回の事態を重く受け止め、管理監督責任を考慮して部長、副部長、総監督、監督を解任し、体制を刷新いたします」という文言が載っていても、しらじらしく説得力に欠ける。そもそもこのHP上に書かれた文言は、NTT東日本の誰の文言なのかもわからない。 記者会見には、榊原明・総務部人事部長も出席していたが、部に関する今後の方針については、奥本部長が説明していた。NTT東日本が部員のモラル教育などに本気で取り組むつもりであれば、今後、部にいなくなる人ではなく、今後も活動に責任の持てる立場の人間が、記者会見という場に出てきて“公約”すべきでなかったか。