バド違法賭博問題で、いなくなる人が再発防止を約束したNTT東日本の違和感
この日、広報部に問い合わせると、川野大介・広報が、「8日の時点では、奥本がバドミントン部の部長であったので、経緯説明などを行いました。調査も完了しておらず、処分も出ていませんでしたから」という返答。 「榊原部長の話を聞く限り、ある程度、田児の解雇や、部の責任者の処分など方向性は、わかっていたのではないか。その上でいなくなる人をああいう場に出して今後の部としてのあり方について質問に答えるのはいかがなものか。今後も、部からいなくならない責任者が出るべきではなかったのか」と聞くと、「まあそうですが、あの時点では、処分は決まっていなかったものですから」と繰り返し、明確な返答がなかった。 一連の問題に対してNTT東日本の対処や調査は非常に敏速で、当事者2人の記者会見もすぐに開き、体調不良を考慮して2人に関しては、約1時間の時間制限があったが、榊原・人事部長、奥本バドミントン部長の2人は、メディアが納得するまで真摯に応対するなどし、最終処分もスピード感を持って出した。 企業イメージを守るためのリスクマネジメントとしては、及第点だったのかもしれない。だが、3日後に解任となり、今後の部の立て直しに関わらない人に、今後について語らせるような体質を見ると、どれだけ本気で再発防止に取り組む気なのか疑問が湧く。
単なる事後処理のテクニックが鮮やかだけだったのではないか。企業イメージを守ることに終始しただけだ。NTTという非常に公共性の強い事業母体を持つ企業が持っているスポーツチームの8人もの部員、元部員が不祥事を起こした以上、“綺麗な蓋”ではなく、今後、企業スポーツのスポーツマンシップのモデルケースにもなりえるような、このような問題の再発防止のカリキュラムなり、組織構造なりを示していくべきではないのだろうか。 今後、協会側とNTT東日本が協力して、社会貢献プログラムなど“更正”と再発防止の方策を進めているらしい。だが、広報部に「新しいバドミントン部の指導部が、今後の部のあり方について会見を開き説明するのか」と聞くと、「今後、新しい体制が、いつどんな形で誰になるかも決定していませんので、それはわかりません」という返答だった。違和感は拭えないままだった。今回、このような重大問題が生まれてしまった背景がどこにあったのかの答えのひとつが見つかった気がした。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)