【泉房穂氏】「出直し選挙じゃなくて開き直り選挙」“失職・再出馬”を決断の斎藤前知事を一刀両断 次の知事は「県民の立場に立って市や町と連携できる人に」
斎藤前知事の判断は「合理的」「会見は絶妙なタイミング」という見方も
今回の斎藤前知事の判断について、地方自治・政治に詳しい大正大学の江藤俊昭教授は“合理的な判断”だと指摘しています。というのも、辞職して選挙で当選した場合と、失職して選挙で当選した場合で『任期』が変わってくるためです。 ▼辞職→当選の場合:任期は来年7月末まで ▼失職→当選の場合:任期は新たに4年 また、斎藤前知事の会見時期が自民党総裁選中と重なったため、世論の関心が“疑惑”よりも“今後の政策”など政治に興味が向きやすい状況で、ここで失職・出直し選挙を発表したのは政治的には絶妙なタイミングだったということです。さらに、斎藤前知事の戦略にメディアが使われているとの指摘もありました。
「政党の推薦受けず選挙に挑む」斎藤前知事には後ろ盾がある?
会見で斎藤前知事は「他の政党の推薦を受けず1人で選挙に挑む」と発表しました。これについて江藤教授は、何かしらの“サポート”や“後ろ盾”があるのではと推測します。それは、選挙には多くのお金・人員を必要とするからです。 まず、県知事の選挙運動費については、お金を持っている人が有利にならないよう上限額が決められていて、「有権者数×7円+2420万円」となっています。前回の兵庫県知事選の上限額は約5643万円でした。選挙運動員については、(車上運動員・手話通話者などを除き)基本的に無報酬ですが、移動費など多くのお金がかかります。選挙コンサルタントの大濱崎卓真氏によりますと、講演会など選挙前の費用を含めると9000万円に及ぶこともあるということです。 泉氏は、選挙に挑む斎藤前知事について「政治資金も集まっていますし、退職金を含めて手元には3000万円程度あると思いますから、その中でやれる選挙をするのかなと。コストを下げる方法は色々あると思います。ただ、費用ゼロではできませんから、お金と応援していただく人、その両方が普通は必要です。本当に1人で選挙ができるかと言えば、簡単ではないと思います」と見解を示しています。 SNSを駆使するなど、若い世代のなかで選挙の捉え方も変わってきていて、結果がどうなるかわかりません。SNSでは「斎藤さん頑張れ」と応援するコメントも多く見られます。 これについて泉氏は「でも、デマも多いですよ。例えば『斎藤前知事が港湾利権にメスを入れた』という説については、事実でないとの報道が多くのメディアでなされていますが、SNSでは“改革のヒーロー”のような取り上げ方もされています。事実でなくても拡散されてしまうので、SNSは怖いですね」と指摘。情報をどう吟味し個人が判断していくかが問われます。