米大統領選の勝敗に大きな影響を与える「ふたつのジェンダーギャップ」はどちらの候補に有利に働くのか
ロムニーは民主党大会に呼ばれるのではないかといわれていました。噂では、最終日にスペシャルゲストとして、ビヨンセかテイラー・スイフトかロムニーの名前が挙がっていました。結局登壇しませんでしたが、このようにロムニーのような、わずかな数の過去の残党のような人物がハリスにつくのです。 ジョージ・W・ブッシュ政権の副大統領でかつては民主党支持者が最も嫌っていたディック・チェイニーが強いハリス支持、トランプ批判で話題となりました。ブッシュやブッシュ家のほとんどの人たちもハリスにいれるでしょう。ただ、既に共和党は「トランプ党」なので、ロムニー以前のリーダーたちは過去の遺物です。言葉遊びではないですが、共和党支持者にとっては「異物」といっていいかもしれません。
――ロムニーやブッシュがハリスに共鳴する部分はどこなのでしょうか? 前嶋氏 国際協調路線です。ブッシュは「思いやりのある保守主義」でした。ブッシュはあまりスペイン語が話せませんが、ヒスパニックの人たちを取り込むために、演説でスペイン語を話すようにしていましたし、スペイン語のCMも多用しました。トランプが同じことをやるとは全く想像できません。 それに、ブッシュには移民排斥的なところは全くありませんでしたので、トランプが許せないところがあると思います。一方、トランプにとってはロムニーやブッシュは「ディープステート」(影の政府)そのもので、叩きのめしたい存在です。オバマもそうですが、トランプもイラク戦争などのテロとの戦いを進めたブッシュを批判しています。
■「銃撃事件」が与えた影響はほとんど消えた ――トランプ銃撃事件がありましたが、トランプの政治姿勢に何か影響を与えたのでしょうか? 前嶋氏 ほぼないといっても間違っていません。トランプを銃撃した犯人はトランプでもバイデンでも、どちらを銃撃してもよかったのです。たまたまトランプが近くに来たので狙っただけです。党派的な背景はありません。 今回の大統領選挙では、実はここまで「確トラ」「ほぼトラ」だったタイミングはたった一瞬もありません。トランプの場合、岩盤支持層は離れませんが他の支持は得にくく、決して強い候補ではないです。