哲夫(笑い飯) 仏教マニア、塾経営者、農家、花火解説者…お笑い以外の仕事を考えたことがない自分が<六足のわらじ>を履くようになったワケ
漫才師でありながら、仏教マニアとしても知られるお笑いコンビ・笑い飯の哲夫さん。それにとどまらず、現在は《六足のわらじ》を履いて生活しているといいます。一風変わった働き方をのぞいてみると、独自のお金の使い方も見えてきて――(構成=野田敦子 撮影=田原由紀子) 【写真】2020年には相愛大学客員教授にも。教壇に立つ哲夫さん * * * * * * * ◆友だちに負けまいとバイトを掛け持ち おかげさまで、最近はいろんな仕事をさせていただいています。仏教マニアに始まり、塾経営者、農家、花火解説者、わらじ作り教室の講師……。《何者》感が強いですが、僕の職業はあくまでもお笑い芸人です。 お笑いの道に入ったのは、大学を卒業してすぐでした。教職に就きたいと考えた時期もありましたが、「先生になるには僕は面白すぎるな」と(笑)。 中学時代から、思いついたことを紙に書いては授業中に回して、友だちを噴き出させて遊んでいたんです。もっと大勢の人に笑ってもらいたい。就職を前に、そんな気持ちが強くなりました。 でも、大阪のNSC(吉本総合芸能学院)に通うにはお金がかかる。ほかに何か方法はないかと考え、インディーズライブを開いたりしながらチャンスを狙っていました。 そして2000年に西田(幸治さん)と「笑い飯」を結成した翌年、オーディションに合格して吉本に所属することになったんです。
◆今でも時間の使い方には自信があるんです 当然ながら、すでに企業で働く友だちは立派に給料をもらっていました。芸人として下積み生活をしている自分も、同じくらい稼がなあかん。絶対に負けたらあかん。そう思って、寝る間も惜しんでバイトを掛け持ちしました。 家庭教師、塾講師、居酒屋、運送業、ホステスさんの送迎……なんでもやりましたよ。僕、今でも時間の使い方には自信があるんです。それは当時、働く時間を無駄にしないために段取りを考えるクセが身についたおかげだと思います。 経済的に一番苦しかったのは、芸人として少しずつ仕事をもらえるようになった頃です。急遽入る仕事に対応できるようバイトを1つに絞ったため、あっという間に貯金はゼロに。 焦っても仕方ないので、予定のない日は図書館にこもって、将来のための財産を頭の中に蓄えようと、ひたすら本を読んでいました。10年にM-1で優勝するまでは、ネタも作り続けました。 西田も僕も、何回も優勝してやるんだと本気で考えていたので。今なら、一度勝ったら若手に譲ろうと思いますけど、当時はがめつかったですね。(笑)
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