母親も「あの子?」とビックリ 篠永紗也子さんがテレビで見ていた「ピアノ界の神童」と結婚することになったワケ
互いにコンクールをサポート
住まいは離れていてもピアノ観は近い。18年の「エドヴァルド・グリーグ国際ピアノコンクール」ではラウンドごとに落ち込む竜馬さんを、彼女が日本から励ました。おかげでファイナルでは充実の演奏を終えた竜馬さん、舞台袖からすぐに日本へ電話して万感の思いを伝えた。結果は見事に優勝。21年、紗也子さんが「オー・ドゥ・フランス国際ピアノコンクール」に出た時は、彼がビデオ通話越しにオーケストラパートを歌って事前の練習をサポート。自他ともに認める「歌下手」をものともしない愛の側面支援で、彼女は2位に輝いた。
プロポーズは涙とともに
二人が完全帰国した22年以降も、それぞれ各地で演奏会があり、竜馬さんは京都市立芸大での講師の仕事があったりですれ違う日も。 とはいえ連絡は怠らず、スマホアプリの「マリオカートツアー」で本気の対戦を繰り返して愛を育んだ。昨年と今年、竜馬さんは地元・千葉市で開く「みんなのピアノフェスティバル」に紗也子さんをゲストで迎え、公の場で初共演した。 彼を紹介された際、昔見た番組を思い出し、「あの竜馬君?」と驚いた紗也子さんの母から昨年末に「そろそろ」とアドバイスを受け、婚約指輪や結婚指輪を二人で事前に買いに行った。 残るはプロポーズのみ。 今年2月29日。4月から東京藝大での勤務が決まった紗也子さんへのお祝いの意味で熱海旅行へ。食事後、旅館の部屋で竜馬さんは極度の緊張状態にあったが、ケーキを運んでくれた外国人スタッフのたどたどしい「ダイジョウブ!」の言葉で一気にリラックス。「理想の家族が築けると思います」と泣きながら手紙を読んで求婚し、紗也子さんはその姿を笑って見つめた。 竜馬さんは「外から帰ってくると信じられないくらいに落ち着く」と言う。理想の居場所となった新居で、今日も妙なる調べは響く。
「週刊新潮」2024年11月7日号 掲載
新潮社