ホンダと日産、苦境の統合協議 「助け舟」か「どろ船」か、難しい損得勘定
■双方にリスクも
一方、ホンダにとっても日産との統合には大きなリスクがある。
日産の大株主には仏自動車大手のルノーに加え、「物言う株主(アクティビスト)」とされる旧村上ファンド系のエフィッシモ・キャピタル・マネージメントの関連ファンドが名を連ねている。統合は、こうした一筋縄ではいかない株主の影響をホンダに招き入れることにもつながり、統合効果を発揮していく上で意思決定のスピードや事業戦略が思うように進まなくなる懸念がある。
また、日産は新型コロナウイルス禍の2020年に打ち出した構造改革「日産ネクスト」でも生産能力を20%削減し、規模の縮小が続いている。固定費削減などの合理化の繰り返しは人材流出も招いており、ホンダにとっては、統合に向けて中長期を見据えた日産の企業価値の判断が難しい。価値判断や統合のタイミングを誤れば、「どろ船」をつかむことになるかもしれない。
業界内でも高い技術力があるとされ、現状では世界に一定の販売基盤を確保している日産は、ホンダにとって統合を検討するに足る相手なのは間違いないが、協議は難航が見込まれる。(池田昇)