「イスラエルの等身大の若者たちは日本人とは真逆だった」バックパッカーが見たイスラエルそしてパレスチナ
離婚をきっかけに世界一周の旅に出たTVディレクター・作家の後藤隆一郎さん。約4年に渡るその旅は書籍『花嫁を探しに、世界一周の旅に出た』にまとめられました。 【画像多数】イスラエルとパレスチナ、知られざる素顔 スーダン、ソマリアなど紛争地帯も縦断した後藤さんですが、イスラエルおよびパレスチナのヨルダン川西岸地区での体験は紙幅の都合で今回の書籍には収録されていません。 悲惨な現地の様子がメディアで報道される昨今ですが、ひとりのバックパッカーがその目で見て体で触れた「等身大の現地の人々の姿」を通じて、いま私たちがこの問題を捉える視座のヒントを聞きました。
まず、パレスチナ・イスラエルに「横たわる問題」とは
――今日はそのイスラエルを旅したときの体験をより詳しくお聞きし、何を思うのかを深掘りしていきたいと思います。以下編集部から、イスラエルとパレスチナの概要をお話します。 イスラエルの中心に位置するエルサレムはユダヤ教、キリスト教、イスラム教、3つの「アブラハムの宗教」の聖地です。ユダヤ教徒は「嘆きの壁」へ、キリスト教徒は「聖墳墓教会」へ、イスラム教徒は「岩のドーム」へと向かいます。歴史上対立もある3つの宗教ですが、基本的には同じ存在へと祈りをささげています。 パレスチナ問題自体はぜひ専門家の解説をご参照いただきたいのですが、以下民族と宗教の細密な関係を省略して簡単に説明します。この地の問題は、1948年のイスラエル建国によってもともと住んでいたパレスチナ人(=アラブ人)がすみかを追われたことに端を発します。パレスチナ人は現段階ではエルサレムのあるヨルダン川西岸地区、そして空爆を受けているガザ地区に分かれて暮らしています。ただし、難民化せずイスラエルに残った人もいて、イスラエル人口の2割ほどがアラブ人です。 いっぽう、歴史をさかのぼれば、2000年ほど前、いまのパレスチナの地には、ユダヤ教を信じるユダヤ人の王国がありました。しかし、この国はローマ帝国に滅ぼされてしまいます。結果ユダヤ人はパレスチナを追い出されて世界に散り散りになり、流浪を続けたつらい経緯を持ちます。