紅麹問題で注目される「腎臓」が持っている重要な働き
「紅麹」サプリの健康被害が、予想以上の広がりを見せています。 なぜ、ここまで深刻な被害を生んだのか。それは「腎臓」という、人体の健康を司る重要な臓器にダメージを受け、腎臓が機能不全を起こしたからです。腎臓と紅麹の詳しい関連性について腎臓専門医・髙取優二さんの著書『人は腎臓から老いていく』より、一部抜粋、加筆、再編集してお届けします。 ■紅麹を使ったサプリで健康被害 【2024年3月30日10時20分追記】初出時よりタイトルを変更し、本文の一部を修正しました。
小林製薬の「紅麹」を使ったサプリの健康被害が、連日ニュースになっています。 摂取後に死亡したとされる人は5人、健康被害は114人の入院などが確認されています(2024年3月29日時点)。 サプリを服用したことによる腎疾患が原因とされており、腎臓専門医として見過ごせない話です。今年1月15日に「サプリを服用した人の腎疾患」が報告され、以降2月に入ってからも複数の問い合わせが相次いでいたようです。 なぜ、このような被害になったのか。
確かに、紅麹菌のなかにはシトリニンという毒素を生成し、腎臓の病気を引き起こすものもあります。ただし、小林製薬のサプリでは、遺伝的にシトリニンが生成されない株菌を使っているとのこと。アレルギーや感染症の可能性も低いとされ、可能性としてはシトリニン以外のカビ毒による腎疾患があり得そうです。 小林製薬はサプリに「意図しない成分」が含まれていたとして、それが腎疾患の原因になった可能性について分析を急いでいますが、その成分は「カビ類から生成される成分に似ている」と会見で語っています。
仮にその正体が何らかのカビ毒であったとして、それが腎臓にどのような悪影響を与えるのでしょうか。 ■腎臓は血液を「おそうじ」している まずは順を追って、腎臓が生命の維持においてどのような役割を果たしているのか、お話ししようと思います。 「腎臓は血液をおそうじするフィルター」 この言葉、多くの人が耳にしたことがあると思います。 たとえば車は、ガソリンを燃料にして動く際に、排気ガスを外に出しています(電気自動車を除く)。それと同じように、人間は空気と水と食物を体内に入れて活動していますが、その結果、体内で発生する有害なゴミ(老廃物)や毒素は、体外に排出しなくてはなりません。