【担当者は超エンスー!】 アストン マーティン・ヴァリアントを深掘り
ドライバーとクルマがダイレクトに繋がっている
ヴァリアントの開発においては、数字以上にフィーリングが重視された。それはクルマとドライバーがダイレクトに繋がっているというもので、開発の発端となったフェルナンド・アロンソ選手が最も重視したことでもある。 クルマのひとつひとつの挙動、過激なフィーリングを、ドライバーが学びながら御していくイメージといっていい。 「DB12はどんな条件でも安心して運転できます。例えば私の母でも運転できますよね。なぜなら電子デバイスが制御しているから」とサムさん。ヴァリアントは「ドライバーがちょっと怖いなと思ってしまうような感じ。でもそれでいいんです」という。 例えば、「トラクションコントロールやABSはついていますが、全てオフに出来ます。その状態で745psを後輪駆動のマニュアルで運転するんです。ね、勇気がいるでしょう(笑)。そこで失敗したら、それはドライバーの頭脳かつま先が問題なんです」とのことだった。 もうひとつ、38台という限定台数が気になった。先にも紹介したヴァラーはアストン マーティン110周年ということで、110台限定だったからだ。 すると案の定、38にも意味があり、「マンチャーのVINコードに基づいています」とサムさん。同時に、このクルマを購入するであろうエンスージアストがグローバルでそのくらいだったことも理由とのことだった。 サムさんとヴァリアントのマニュアルトランスミッションの話をしたときに、自身も通勤以外のクルマは全てマニュアルだと発言していた。 そこで何を持っているのかを聞いてみたところ、「BMW M3(E46)にスーパーチャージャーを付けたものや、ホンダ・シビック・タイプR(EK9、EP3)、プジョー306ラリー、106ラリー、ゴルフGTI(2世代目)、レースもやっているので1961年のミニクーパーSもあります。ほかにFDのRX-7、R32スカイラインGTR、ホンダS2000にはターボチャージャーも付けましたが、これはちょっとやりすぎちゃいました」と教えてくれた。 いやはや、相当なエンスージアストである。そんな人がいるからこそ、フィーリングを重視して、クルマを操ることにこだわったヴァリアントが生まれたのだろう。そして、そのフィーリングはきっとドライバーを虜にするに違いないと確信した。
内田俊一(執筆) 田中秀宣(撮影) 平井大介(編集)