「ロゴマークが変わると、会社も伸びる」 ANAやアサヒビール、成長したときにロゴが変わっていた
「会社の顔」であるロゴマークは、会社の理念や哲学を凝縮し、一目で分かるデザインになっています。ロゴマークを作ることは「外向けのブランディング」という効果だけでなく、社員のモチベーションや業績の向上にも影響があるといいます。長野冬季五輪のエムブレムなど、日米で多くのロゴマークを手がけてきたデザイン会社「イデアクレント」(東京都中央区)の篠塚正典代表取締役に、ロゴマークが果たす役割について聞きました。 【動画】事業承継は社会問題でありチャンス
◆「名刺を出すのが楽しくなりました」
―ブランディングやロゴマークで社員が前向きになるのですか。 例えば、社長が交代する事業承継の場合です。 社長が変わるのですから、社員は「これから一体どうなるのだろう」と不安を抱えていると思います。 その時、ビジョンをはっきり社内に発信することで、目指す方向が分かり、不安が解消されます。 それに加え、ロゴマークのデザインが新しくなれば、心機一転モチベーションも上がります。名刺が一番、社員に影響があります。 これまで多くの会社のマークを作りましたが、「名刺出すのが楽しくなりました。自信を持ってこの名刺が出せます」という声をよく聞きます。 デザイナーとしては嬉しいです。デザインでモチベーションが上がり、一致団結して同じ方向に向かっているという証ですからね。 ―デザインが変わり、会社が変わった例としてどんなものがありますか。 有名なのは全日空(ANA)です。元々は国内線だけの航空会社でした。 当時、垂直尾翼に書かれていたマークはレオナルド・ダ・ビンチが書いたヘリコプターの絵でした。 紺色とブルーの垂直尾翼に白いANAの文字が書かれた今のマークに変わったのは1982年です。 国際線に路線を拡大しようとしていたころで、そのころから会社は一気に大きくなり、独り勝ちだった日本航空(JAL)を追い越したのです。 アサヒビールも、スーパードライの発売時にロゴマークが変わりました。 キリンにどうしても勝てない業界2位のアサヒが、トップに躍り出ました。 スーパードライというヒット商品の力も大きかったですが、ロゴマークが変わり、イメージが一新されたことも影響したと思います。