野沢雅子は“俺たちの悟空像”を更新し続ける 『ドラゴンボールDAIMA』に刻んだ新しい声
TVアニメ『ドラゴンボールDAIMA』(フジテレビ系)を観て、久しぶりに初代『ドラゴンボール』や『ドラゴンボールGT』を観たときに感じた、今から未知の冒険が始まるワクワクする気持ちを思い出した。『ドラゴンボールDAIMA』は少年時代に見た懐かしい記憶を呼び覚ましてくれる。 【写真】超サイヤ人に変身し“かめはめ波”を放つ悟空 故・鳥山明が原作、ストーリー、キャラクターデザインを手がけた完全最新アニメシリーズとして10月より放送されている『ドラゴンボールDAIMA』。キング・ゴマーの陰謀によって、子どもの姿にされてしまった悟空は、ゴマーに連れ去られたデンデを救出し、ドラゴンボールを使って元の身体を取り戻すために、界王神と突如現れた少年魔人・グロリオとともに大魔界を目指す。 第8話ではタマガミ・ナンバー・スリーとの対決に勝利し、見事に1つ目のドラゴンボールを手にした悟空たち。おそらく黒幕であるドクター・アリンスの狙いも明らかになり、物語は単なるバトルものにとどまらない様々な思惑が交差する展開となっている。 本作では、ベジータ(ミニ)を三野雄大、ピッコロ(ミニ)を山口智広、クリリン(ミニ)を金田アキが担当しており、堀川りょうや田中真弓などお馴染みの声優陣が大幅に入れ替わっているのも特徴だ。2018年に公開された映画『ドラゴンボール超 ブロリー』では子ども時代のベジータを堀川が演じていたため、今回の変更はファンからは様々な声が上がっていたが、その中でも変わらずに悟空と悟空(ミニ)の両方を演じているのが野沢雅子である。これまでのキャリアを考えると、このタイミングで変更があることは考えられなかったが、再び長いシーズンにわたって放送されるアニメのレギュラーを務めることは容易なことではない。野沢の過去エピソードからも声優という仕事へのこだわりや熱量は理解していたものの、改めて野沢の胆力には驚かされるばかりだ。 悟空を演じる野沢は、もはや説明不要の声優界のレジェンドであり、多くの声優たちが野沢へのリスペクトを明かすなど、声優たちにも大きな影響を与えている。代表作には『ドラゴンボール』シリーズのほか、『ゲゲゲの鬼太郎』の鬼太郎役や『銀河鉄道999』の星野鉄郎役がある。近年は出演作こそ少ないものの、『アサティール 未来の昔ばなし』のアスマ役、映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』の目玉おやじ役を務めるなど、88歳となった現在も第一線で活躍している。明らかに野沢の声だとわかるのに、少年から大人まで幅広い年齢層のキャラクターを演じ、それぞれの微妙な異なる個性を表現している、その変幻自在な声は唯一無二だ。