「役作りの暇があったら面白いことを言ってと」戸塚純貴が福田雄一から受けた“ダメ出し”
人生観を考えさせられるような哲学的な要素も
――『グラウンドホッグ・デー』にはどんな感想をお持ちですか? 原作映画の『恋はデジャ・ブ(邦題)』はもともと好きな作品で、それがミュージカル化されていることは知りませんでしたが、たしかに舞台でやったら、すごく面白いだろうと感じました。 恋愛要素のあるラブコメなので入りやすい題材ですし、タイムリープするストーリーで、舞台の転換や仕掛けなど、舞台だからこそできる面白さもありますね。人生観を考えさせられるような哲学的な要素も詰まっている作品だと思いました。 ――戸塚さんが演じるネッド・ライアーソンをどのように捉えていますか? ネッドは保険会社のセールスマンで、主人公で同級生のフィルとは久しぶりに再会するのですが、相手にはほとんど覚えてもらえていない存在です。それでも保険に入ってもらおうと勧誘するんですが、役柄としてうっとうしい(笑)。 でも蓋を開けてみると、ネッドにも家族がいて、守るべきものがあって、それを知った途端、見方も変わります。この人も頑張っているのだから、無碍にしてはいけないなと。肩書きだけで判断したり、目に見えるものだけで決めつけたりする人に対してのものの見方がネッドにはあって、僕は深い役だと思っています。 それなのに、福田さんからは「役作りをしている暇があったら、面白いことを言ってください(笑)」と、演出家としてはあるまじきことを指示されます(笑)。それが福田組ならではの厳しさではありますけどね……。
「僕の人生には、朝ドラに出るチャンスがあったんだ」
――NHK連続テレビ小説『虎に翼』に出演したことで、ご自身の心境に何か変化はありましたか? 僕自身は全くないですね。でも変わっているのは周りだと思います。僕には“こういう自分になりたい”という考えはなく、先を見ずに演じ続けてきて、気がついたら後ろに“道”ができていたという感じです。いろんな作品を演らせていただいてきたんだなとか、いろんな方々と共演させていただいてきたんだなということは感じられますが、自分自身が変わった気はしていません。 ただ、「僕の人生には、朝ドラに出るチャンスがあったんだ」という、自分が思いもしなかったところに到達したという実感はあります。役者として演じることの楽しさみたいなものが、作品と出会うたびに増していって、それが、僕が演じることを続けられるすべてなのかもしれないですね。 ――プライベートの時間は何をして過ごしますか? バイクと自動車に興味があったので、バイクに乗ったり、触ったり、ドライブをして過ごしています。最近はゴルフも始めました。あとはサウナも好きなので、1時間くらいドライブして、気になっているサウナに日帰りで行くこともあります。 休みの日に家にいることが自分にはあまり向いていなくて、与えられた時間を趣味の時間として費やすことが何よりもストレス解消になっていると思います。体は疲れているのかもしれませんが、予定がある方がむしろ調子がいい感じがします。 ――最近ハマったことはありますか? お仕事で表彰式のプレゼンターをやらせていただいたご縁で、競馬のレースを見たりしています。先日、たまたまお休みができた日があって、G1レースがあると聞いて中山競馬場に行って、1日中過ごしました。パドックで馬を見ていたんですが、何と言っても馬は目がめっちゃかわいい! 新しい趣味ができました。乗馬もしたことがあるので、これからは馬に乗る、見るということを楽しみたいです。 ――雑誌『ダ・ヴィンチ』での連載が書籍化されるそうですね。 作家のくどうれいんさんと「登場人物未満」というコラボレーションの連載をしていたのが、本になります。いろいろな場所で撮った僕の写真を見て、くどうさんがオリジナルの物語を作ってくださって、僕がその物語のアンサーとしてSNSで感想を書くというのが1つの回で、書籍はそれをまとめたものです。 くどうさんはとても才能のある方で、僕とは同郷なんです。さらに担当編集者の方も同郷という繋がりで始まった企画なのですが、この本の刊行イベントには、くどうさんのおかげでたくさんのお客さんが来てくれるのは間違いないと思います。ぜひ、皆さんもいらしてください! 戸塚純貴(とづか・じゅんき) 1992年、岩手県出身。ドラマ『花ざかりの君たちへ~イケメン☆パラダイス2011』で俳優デビュー。主な出演作はドラマ『純喫茶に恋をして』『親バカ青春白書』『だが、情熱はある』『マルス-ゼロの革命-』、映画『ケアニン~あなたでよかった~』『ある閉ざされた雪の山荘で』『法廷遊戯』など。2013年公開の映画『風切羽~かざきりば~』では主演を務めた。2024年は連続テレビ小説『虎に翼』に出演し、注目を集める。
山下シオン