太田基裕 妖艶さで舞台を魅了する実力派!フィクションの世界で「役と共鳴し合えばし合うほど、真実味が増していく」【推し☆メン】
名作出演で対峙した表現者としての葛藤
――この夏は、喜劇王チャールズ・チャップリンが監督、脚本、作曲、主演を務めた同名映画をもとにした音楽劇『ライムライト』で、若き作曲家・ネヴィルに扮します。主演の石丸幹二さんとは、ミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』(2016年)以来の共演ですね。 時が経つのは早いですね。あれから8年経ちますが、幹二さんが全然お変わりなく、若々しいのでスゴいなと感じています。いい意味でマイペース、ユルさも余白もある素敵な大先輩なので、再びご一緒させていただけることがとても嬉しいです。 ――共演は石丸さんのほか、ヒロイン・テリー役の朝月希和さん(宝塚歌劇団出身)など実力派揃いですが、稽古の手ごたえを聞かせてください。 僕は『ロミジュリ』の地方公演があったため、他のキャストさんから少し遅れて稽古に合流しましたが、皆さんが余裕をもってやっていらっしゃるのでチャレンジもしやすいし、演出の萩田浩一さんが「こうしたい」という意図を細かく指示してくださり、思い悩むことなく向き合えています。 ――激しい恋に落ちた少年少女を中心に、血気盛んな若者たちが命をかけて戦う『ロミジュリ』と、ともに表現者である老芸人と若いバレリーナがしっとりと愛を育んでいく『ライムライト』。2作品の本番と稽古を並行することで混乱しませんでしたか? 根底にあるテーマに共通する部分もありますが、『ロミジュリ』は大人数でグワーッといく「炎」のような世界観であるのに対し、『ライムライト』は落ち着きがあり、だけど内側にたぎるものを秘めている。対極にあるからこそ、自分の中で整理がつけやすかったです。 逆に、『ライムライト』から『ロミジュリ』の世界に戻るときはエンジンをかけないといけなかったので、そこは多少しんどかったかな。僕はすごく不器用で、一つのことに集中したいタイプなので、なんとか乗り越えたという感じです。 ――『ロミジュリ』で演じたティボルトは野心をむき出しにした役柄であるのに対し、『ライムライト』のネヴィルはテリーに思いを寄せながらも彼女の気持ちを尊重する紳士です。素の太田さんはどちらに近いですか? “見え方”としてはネヴィルのほうが近いですね。だけど、ティボルトみたいにストレートな表現はしないものの、“持っているもの”という意味ではどちらの役柄にも近いといえるのかもしれません。どこかに反骨精神を持っていないとこの仕事はやっていけないので、「たぎっている部分」は僕の中にも間違いなく存在しています。