62歳会社員です。退職して「44年特例の年金」をもらうのと、65歳の「定年退職」ではどちらがお得でしょうか?
定年前の62歳で退職し「44年特例の年金」を受給するのと、65歳まで働き定年退職するのでは、その後の収入や生活設計などの面でさまざまな違いが出るでしょう。 そこで今回は、それぞれを選択することによってどのような違いがあるのか、またどちらがお得なのかを比較してみました。 ▼65歳から70歳まで「月8万円」をアルバイトで稼ぐと、年金はどれだけ増える?
44年特例とは?
44年特例とは、一定の条件下で厚生年金の加入期間が44年以上ある場合に、65歳になる前に老齢厚生年金の報酬比例部分に加えて定額部分も上乗せして受け取れる制度です。厚生年金の被保険者ではなくなった人が対象で、被保険者でなくなった月の翌月分から受け取れます。 65歳の定年前に退職しても、年金受給が始まるまでの間の収入が確保でき、生活費の補てんが可能になる制度といえるでしょう。 また、特例に該当する人に子どもや配偶者がいる場合は、指定の手続きを済ませることで「加給年金」の分も加算されます。44年特例が適用される条件は以下の通りです。 ●特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分を受給している ●厚生年金保険に44年以上加入している ●会社員や公務員をすでに退職して、無職あるいは個人事業主などになっている(厚生年金の被保険者ではなくなっている) 厚生年金の加入期間が44年以上あっても、途中で転職した(民間企業から公務員など)場合、被保険者期間の合算が行われない点に注意する必要があります。
44年特例の受給額の目安
44年特例で上乗せできる定額部分の金額(昭和31年4月2日以後生まれの方)は、「1701円×生年月日に応じた率(定額単価=1)×被保険者期間の月数(480)」=81万6480円(令和6年度の場合)です。 なお加給年金の対象者がいる場合、65歳までの配偶者と2人目の子までは一人当たり23万4800円(3人目以降の子は各7万8300円)が、さらに配偶者の加給年金額には老齢厚生年金を受けている方の生年月日によって特別加算額も加算されます。 また、65歳より前に年金を繰上げ受給すると、1ヶ月早く受け取るごとに0.5%(昭和37年4月2日以降の方は0.4%)が減額されることも覚えておきましょう。