日本株、地政学的緊張と円のボラティリティーを克服へ-アリアンツ
(ブルームバーグ): 中東情勢の緊張と為替変動により、日本株の記録的な上昇は勢いを失っているが、堅調な企業ファンダメンタルズと人工知能(AI)の長期展望が支えとなり、このところの弱さは一時的なものにとどまりそうだ。
世界で2兆4000億ドル(約370兆円)の資産を運用するアリアンツ・グローバル・インベスターズの日本株最高投資責任者(CIO)、中塚浩二氏の見解だ。「全てが正常化すれば、日本の株式市場は年末にかけて上昇ポテンシャルがある。日経平均株価は年末までに最高値水準に戻るかもしれない」と語った。
日本株は今年に入ってから過去最高値を更新した後、テクニカルな調整に近づいている。連邦準備制度による利下げへの期待が後退していることでドル高・円安に再び弾みがついており、円は対ドルで155円近くまで下落した。この水準に近づいたことで通貨当局による介入への警戒感が高まっており、円安は日本株の悪材料になり得ると米金融大手は指摘している。中東での地政学的緊張の高まりで質への逃避も見られている。
中塚氏は1ドル=155-158円まで円安が進む可能性は高いとみるが、「市場参加者の大半は既に当局の介入を見込んでおり、ドル買い・円ショートを続けるのは難しい」と指摘。円高の恩恵を受ける国内事業中心の小型株は、ここ1年の上昇をけん引してきた大型株に追いつき始めるとみる。
中塚氏は、小型株には独自のAI専門性を備えたニッチのプレーヤーが多いと指摘。企業改革のキャンペーンは国内の小規模企業にもいずれ広がるだろうと付け加えた。小型株指数の過去1年間のリターンはわずか6%と、大型株指数の35%に後れを取っている。
イスラエルとイランの対立が激化し、原油価格が今月初めに今年の高値を更新した後も高止まりしているため、成長株は「非常に脆弱(ぜいじゃく)」であり、特に基礎原料をドル建てで輸入しているファインケミカル企業はそうだと中塚氏は指摘。「投入コストが非常に高いため、収益性が圧迫される可能性がある」と話した。