新聞・テレビはなぜ「役に立たない」と見なされるのか?選挙期間中にこそ高まる政治への関心、なのに報道は抑制的に
■ SNS戦略の高度化は続いている ここで注意したいのは、同時に「ネットや動画が影響していない」ということを述べているわけではないという点である。 すでに述べたが、重要なのはSNSや動画といってもそれらのどの要素が、どのようなかたちで、選挙のどの側面に影響し、一般性や再現性があるのかはそれほど簡単にはわからないということである。 ただし、ネット、なかでもSNSや動画を用いた組織化と動員の戦術は特に2013年の公職選挙法改正に伴うインターネット選挙運動の広範な解禁以来、政治家や政党によって様々に試行錯誤され、高度化と洗練が続いている。 2013年は参院選の年であった。この参院選では、現在のれいわ新選組代表の山本太郎氏とミュージシャンの三宅洋平氏が「選挙フェス」を展開した。音楽のライブのような形式で選挙運動を展開し、その模様を動画でライブ配信し「東京選挙区は山本太郎、全国比例は三宅洋平を」と呼びかけた。 ネットの盛り上がりと選挙運動の現場をつなげた(因果関係は不明だが、山本太郎氏は当選、三宅洋平氏は落選も落選候補最多得票だった)。 2019年参院選ではれいわ新選組が参院選の特定枠を活用して、重度障害を持つ候補者らを当選させた。 結果の是非はさておくとして、特定枠は前年の参議院の区割り改正を通じて合区が導入されたことを背景に、事実上、バーター的に全国比例において個人の獲得票数を勘案しない特定枠が導入されたことを思えば、制度の想定しない使い方であることは指摘できるはずだ。 2022年参院選では、旧NHK党のガーシー氏がドバイ在住のまま当選し物議を醸した。全国比例に9人を擁立し1枠を獲得。もっとも個人票を集めたガーシー氏が当選となった。 直近では、2024年東京15区補選におけるネットと選挙運動の現場での「選挙妨害」。同年の東京都知事選挙での石丸伸二前安芸高田市長が約170万票を獲得した「石丸現象」などがある。