「タケ・クボはバルサにも通用するよ」子供の予言通り…MVP久保建英「ソシエダで一番の試合かも。大事なのは明日、この街で…」覚醒の全事実
レバンドフスキの“不条理オフサイド”はソシエダの幸運に
ゲームは序盤、バルサが支配する形でスタートする。 13分、ソシエダはゴール前でのミスを相手エースのロベルト・レバンドフスキに押し込まれてしまう。格上相手の失点に、思わず肩を落とし落胆を露わにするメンバーの姿が撮影できた。 VARの結果、オフサイドによってゴールが取り消されたが、試合後の分析では、レバンドフスキのはみ出していたとされる爪先部分が“実は守備側選手のものである”可能性が高く、VARの判定自体が誤りだった可能性が高い。 ホームチームの落胆ぶり、バルサの好調さを考えると、バルサの先制点が試合に与える影響力は大きかったはずで、この判定が2つ目のソシエダの幸運となった。 ゴールが取り消された直後のこと。久保はディフェンスリーダーのイゴール・スベルディアの元へ近寄ると、自身の胸に手を当てて「オレに任せろ」というようなジェスチャーで気概を見せている。そしてここからスイッチが入ったような久保を中心とソシエダの攻撃が一気に活性化する。 サイドでパスを受けると、マークにつくイニゴ・マルティネスを置き去りにするドリブルからクロスを送りチャンスを演出した。さらに直後にも、ブライス・メンデスとのコンビネーションで右サイドを制圧。カットインでボックス内へ侵入すると、2人をかわしシュートまで持ち込んでいる。放った低弾道のシュートは枠を捉えたが、GKのセーブにあった。 まさにほぞを噛む代わりとでもいうように、シャツの裾を噛み、悔しさを露わにした。
久保の前プレスにバルサ守備陣は慌てた
ただ久保の勢いは明らかに、選手、ファンに伝播しスタジアムの雰囲気を変え、先制点の舞台が整えられつつあった。 前半33分、相手GKのミドルパスを弾き返すと、シェラルド・ベッカーが守備ラインの裏に流れたボールに反応し、冷静にゴールへ流し込み先制点を奪った。ゴールを決めて大喜びするベッカーと共に、逆サイドから猛然と駆け寄る久保の姿も印象的なセレブレーションとなった。 久保の躍動は攻撃面だけに限らず、守備面でも出色の出来だった。 この試合では通常時の役割ではなく、特別な役割が任されていたようだ。攻撃時4-3-3の陣形から守備時には4-4-2へと形を変える中で、久保は、攻撃時には右ウイング、守備時にはサイドハーフとして相手SBのマークのため自陣まで戻ることが求められている。 これは今季5節のマドリー戦記事にも示しているが――この試合での久保のタスクは相手CBへのプレス、すなわち久保が得意とする前向きの守備となり、自陣へ戻る後ろ向きの守備から解放され、これにより久保の攻撃が活性化された。 またバルサ正GKテア・シュテーゲンの怪我により出場機会を伸ばすイニャキ・ペーニャにとって、度々受ける久保のプレスでリズムを崩していた可能性は高く、失点場面のミスパスにつながったか。後半にも、久保のプレスからミスを誘われたイニゴが慌てて挽回に入り久保の足を踏みつけるシーンがあり、久保の前プレスにリズムを崩されるバルサ守備陣の姿があった。