“信州に夏” 車山高原のニッコウキスゲ見ごろ シカ食害から回復
長野県の車山高原で、夏の到来を告げるニッコウキスゲの黄色い花が見ごろを迎えている。例年よりも1週間から10日ほど早い開花。近年はニホンジカの食害などで数を減らしていたが、今年は丘全体を黄色に染めるように、例年以上にまとまった数が咲き誇る様子が見られる。ここに来て、電気柵設置などの対策が、目に見える形で効果を上げてきたようだ。(内村コースケ/フォトジャーナリスト)
見ごろは連休明けごろまで
ニッコウキスゲは、本州ではおもに高原に咲くユリ科の多年草で、車山高原や隣接する霧ヶ峰、日光の霧降高原(栃木県)などが有名な群生地だ。車山高原と霧ヶ峰では例年7月20日ごろに見ごろを迎える。車山高原は、八ヶ岳と南アルプス、北アルプスを一望する標高1500メートル前後の草原で、梅雨明けと共に一帯がニッコウキスゲの黄色い花で染まると、本格的な夏を迎える。
今年は例年よりも開花が早く、梅雨が明けきらないうちに見ごろを迎えた。雨模様が続いた後、一気に青空が広がった11日には、平日にもかかわらず、最大の群生地がある「車山肩」の駐車場は満車。大勢の観光客が群生地を囲む遊歩道を散策していた。この後数日は雨模様の予報だったため、「今日が最高のタイミング」と喜ぶ人が多かった。
11日の一帯の日中の気温は18度前後。標高が上がるにしたがい、まだ開花していない蕾も多くあり、管理する「車山ビジターセンター」では、16~18日の3連休を挟んで「今月20日前後までは楽しんでいただけるのではと予想しております」としている。ニッコウキスゲは、1株に5個ほどの蕾がつき、1日に1個ずつ順番に開花していく。そのため、見ごろが1週間から10日ほど続く。
深刻な食害で一時は絶滅の危機
車山高原・霧ヶ峰の群生地は、中央自動車道諏訪IC方面から白樺湖を経て美ヶ原高原に至る観光道路「ビーナスライン」沿いに点在している。「車山肩」の群生地前には無料駐車場と有料駐車場があり、いずれも満車だった場合には、近くの車山高原スキー場の駐車場からリフトを利用して車山山頂から群生地まで歩くこともできる。ほかにドライブイン「霧ヶ峰富士見台」前、霧ヶ峰スキー場周辺などにも群生地がある。