「引きこもりの男性」を別人に変えた小さな習慣、92歳のシスターが説く「足るを知る」ことの意味
「無理して成長しなくてもいい。カタツムリにようにゆっくりと。毎日1ミリだけ成長しようと思えばいい」。92歳になるシスターの鈴木秀子さんは、日々、何かに追い立てられる現代人に対してこうアドバイスします。そんな鈴木さんが説く、今できることの「ささやかな積み重ね」の重要性とは。 ※本稿は、鈴木さんの著書『ゆっくり変わる』から、一部を抜粋・編集してお届けします。 ■「望む仕事」は、小さな積み重ねの先にひそんでいる
私のところに悩みの相談で来られる方の中で、最近よく聞くのは「仕事がない」という悩みです。雇用は景気に直接影響されるものです。以前に比べると、求人の数は確かに減ったのかもしれません。 ですが、仕事というものは高望みさえしなければ、いつの時代でも何かしらあるものです。「仕事がない」という人は、業務内容、給料、待遇、勤務地など、自分でさまざまな条件をつけて「選んで」いるのではないでしょうか。 もちろん自分に合った仕事を選ぶことは大切です。ですが、それが「高望み」にならないように。「仕事がない」と嘆く人は、えてして「大きな仕事をしたい」「立派な仕事をしたい」という大きな欲に振り回されているように感じます。
少し厳しく聞こえてしまうかもしれませんが、「仕事がない」という人には「あなたのプライドは高くなりすぎてはいませんか」と、私は尋ねるようにしています。 まずは、どんな仕事でもいいと思うのです。与えられた仕事に喜んで取り組んで、一生懸命になってください。あなたを見ている人はきっといるはずです。その頑張りを認めて、あなたを引き上げたり、味方になったり、新しい仕事につなげてくれたり、必ずあなたの力になってくれるはずです。
仕事とは、そうやって自分の力が周りに認められると「広がっていくもの」なのです。求人欄には書かれてはいませんが、小さな仕事の先には、より大きな仕事がひそんでいるのです。 でも、あなたが「こんな小さな仕事」と見ている限りは、その仕事は永遠に、小さくつまらないものであり続けるでしょう。 聖書にこんな言葉があります。 「ごく小さな事に忠実な者は、大きな事にも忠実である。ごく小さな事に不忠実な者は、大きな事にも不忠実である」 (ルカによる福音書 16章10節)