ハワイの海はゴミだらけだった!? ビーチクリーンを行うNPO団体メンバーが見たその実態
美しい光景を想像しがちなハワイの海。しかしNPO団体「サスティナブル・コーストラインズ・ハワイ」のメンバー・来迎秀紀さんは、東海岸は特にひどい状況にあると語る。 ▶︎すべての写真を見る その実態と原因、そして美しい海を取り戻そうとする活動について、詳しく伺った。
自然と深くつながるハワイの人たち
2022年に行ったオーシャンズのハワイ取材は強烈な円安の真っ只中。ファミリーレストランで朝食をとると、2人で8000円近くにもなった。同行の編集者と「しばらく気軽に来られないですね」と言葉を交わしたことを覚えている。 宿泊費や物価も上がり、滞在費はコロナ禍前と大きく異なる。1ドル100円を切るような円高の時代は「ブランド品が安い」ことが渡航の理由となったが、昨今の状況が変わらなければ「それほどの出費を覚悟しても行く意義とは?」という問いが渡航者にはつきまとうだろう。そんな会話もした。 一方、コロナ禍を経験してハワイは観光政策をアップデートし、レスポンシブルツーリズム「マラマハワイ」を新しい観光の形とした。 それはローカルが大切にしてきた自然や文化を、未来のハワイへ継承するためのもの。既に海洋生物保護区に指定されるハナウマ湾のビーチは利用が予約制となり、パワースポットのクカニロコ・バースストーンは立入禁止となった。 オーバーツーリズムによる高い環境負荷や、落書きをはじめとする心ない人からのイタヅラ等を避けるうえでの策だった。 ハワイのレスポンシブルツーリズムは旅行者に土地を敬いながらの滞在を求める。観光コンセプトの刷新に伴い、訪れる意義もハワイは新しく掲げたのだ。かつて多くが“消費”に求めたそれは、コロナ禍以降“体験”となったのである。 所有の時代から共有の時代へ移行したといってもいい。その動きのひとつは、島を囲むコーストラインでも見ることができる。
豊かな水を財産とするかつてのハワイの姿へ
2010年に設立されたNPO法人「サスティナブル・コーストラインズ・ハワイ」は、ハワイの海岸線のクリーンナップをはじめ、海洋環境における問題の解決を主要なミッションとする。 設立のきっかけは創設メンバー8人のうちの1人、カヒ・パカロさんがニュージーランドをサーフトリップしたときに「サスティナブル・コーストラインズ・ニュージーランド」という団体と出会ったことにある。 彼らはビーチクリーンなど同国の海洋環境を良くするための活動を展開しており、帰国にあたってカヒさんは「注意してビーチを見てみるといい」という言葉をもらった。 そのとおりに帰国後は足元に意識を配りながらホームビーチを歩くように。そして気が付いた。漂着物や小さなプラスチックの破片がたくさん落ちているという状況に。 その後、カヒさんたちは草の根運動をスタートさせる。気付きを与えてくれた「サスティナブル・コーストラインズ・ニュージーランド」への敬意を示すため自身の団体の名称にその名を使い、以来、13年にわたりハワイの海をきれいにする活動を行ってきた。 それにしても美しい光景を想像しがちなハワイの海は、どれほど汚れているのだろうか。草創期にメンバーに加わった来迎秀紀さんによると、オアフであれば東海岸に漂着物が多く見られるという。