全壊・寸断時の避難に備え 富山県氷見市中心に県原子力防災訓練、能登半島地震教訓に
能登半島地震の発生後初となる県原子力防災訓練が24日、富山県氷見市を中心に行われた。北陸電力志賀原発(石川県志賀町)の事故を想定し、住民のほか、国や県、北電など60機関から計約630人が参加。元日の教訓を踏まえ、自宅が全壊した場合の一時集合場所への屋内待避や道路の寸断に伴うヘリでの避難、富山市への広域避難などを初めて実施し、万一の対応を確かめた。 訓練は東京電力福島第1原発事故を受け、2012年から毎年実施。志賀町で震度7の地震が発生し、志賀原発が外部電源を喪失して放射性物質が放出されたとの想定で行った。 氷見市は、面積の3分の2が原発から半径30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)に含まれる。今回はUPZ内の中山間地にある速川、久目地区を対象に行い、住民約250人が参加した。 市内では、元日の地震で233棟が全壊の認定を受けた。これを踏まえ、自宅での屋内退避が困難になった場合に備え、一時集合場所に身を寄せる訓練に取り組んだ。
両地区の住民は、それぞれ地元で閉校した小学校の校舎に避難した。室内に放射性物質が入らないように窓を閉め、外気を遮断するため隙間に養生テープを貼った。安定ヨウ素剤に見立てたあめ玉を受け取った後、放射性物質が付いていないか調べる避難退域時検査場所の氷見運動公園に移動し、検査を受けた。 第1避難先の県西部5市での受け入れが困難な場合を想定し、県東部への広域避難訓練も初めて実施した。両地区の住民50人がバスで富山市へ移動し、避難所を開設する手順を確かめた。 道路が寸断し、集落が孤立したケースを想定した訓練も実施。派遣要請を受けた自衛隊ヘリが速川地区内の西の杜学園グラウンドに着陸し、住民役の市職員らを乗せ、空路で避難した。 新田八朗知事や菊地正寛氷見市長らが訓練を視察した。