国内女子のファイナルQTも終わり“さあ、オフシーズン” 心身を休めるのも大事な仕事【原田香里のゴルフ未来会議】
ゴルフを愛するみなさん、こんにちは。原田香里です。2024年も、長いながいシーズンが幕を下ろし、来季の出場権を争うQTも終わりました。ようやくオフシーズンに入った選手のみなさんは、活躍した人ほどまだまだ忙しいと思いますが、とりあえず一息ついている頃でしょう。 渋野日向子、鈴木愛らが登場! 大盛況のPINGファン感謝祭【写真】 シード権争い、QTの結果などを見ると、毎年、本当に戦いは厳しくなっているのだと感じます。いま、ツアーに出ている選手たちのほとんどは小さなころからゴルフをしてきており、みんなゴルフは上手です。そのなかでの戦いは、本当に紙一重、というレベルです。技術はもちろんですが、重要になってくるのはやはり気持ちの強さです。 長いシーズンを戦うためには体力も必要ですが、気力も同じくらい必要です。体力がなければ心がついて行かないし、気持ちが弱っていれば身体にも不調が出る。練習で培った技術を生かすためには、そのどちらもしっかりしていないとなかなか難しいからです。 人間の心は、ふとしたきっかけで折れることもあれば“勤続疲労”のように徐々に弱っていって、ある日限界を迎える、ということもあります。トレーニングで身体を鍛えるのと同じように、心もそれぞれの方法で鍛えなければ戦っていけません。ベテランや中堅で、QTを受けず「いったんお休みします」という選手がポツポツ見られます。個々の考えの下、それもありでしょう。ただ、1回休むとそこから元の自分に戻すのは、今の時代、思っている以上に大変かも知れません。 走っている自転車をこぎ続けているのと、一度止まったところからこぎ出すのをイメージしてもらえるといいかもしれません。後者のほうがはるかに大きな力が必要なのがわかるでしょう。 一方で、続けることも本当に大変なことです。最近のツアーは、リランキングなどがあること、若い選手が多いことなどから本当に試合を休まない選手が多くみられます。けれども、ありがたいことにほとんど休みなく試合があります。4日間大会も増え、夏は暑さも厳しくなっています。そのなかで、休まずに心身の状態をキープし続けるのは、なかなか難しいのではないでしょうか。 人生100年時代と言われています。永遠にツアーでプレーすることはできませんが、本人さえ臨めば、プロゴルファーとしての人生はずっと続くのです。その人生プランをどう描くのでしょうか。若い頃にはなかなか先のことが現実的ではないかもしれませんが、それでも、考えることで日々の過ごし方が違ってくると思います。 ゴルフを通じて作り上げてきた自分は、ツアーを離れても続いていきます。ゴルフに関わっていくにせよ、そうでないにせよ、そこで培ったものは財産になります。だからこそ、常に人生プランを持っていることをお勧めします。アップデートはいつでもできます。 私は、ツアーに毎週出ていた頃も今も変わらず、ゴルフは仕事だと思っています。プライベートでゴルフをすることもありますが、基本的には仕事。人生で重要な位置を占めているのはまちがいありませんが、ゴルフだけがすべてというふうにならないようにしようとはしていました。 だから、毎年オフに入ると、12月はクラブを握りませんでした。何をしていたかって? ひたすら引きこもってファミコン三昧でした(笑)。と言っても、当時スーパーマリオのゲームに夢中だっただけですが、ツアーに持って行ったこともあるくらいです。 12月は家で、ゲームをしてのんびりする。カッコよく言えば英気を養い、お正月に帰省してトレーニング、練習を始めるというのがルーティンだったのです。体だけでなく、心も休める。これは、アスリートにとっては大切な仕事の一つではないでしょうか。シーズンを通したコンディショニングを考えてスケジュールを立てること。並行して人生のなかでの『いま』を考えて、ぼんやりとでもスケジュールを立てること。 ツアーという限られた世界のなかで結果に振り回される日常から少し離れたところから自分を見て考えることも、人生プランの中では必要なのではないでしょうか。いずれにしても、長いシーズン、みなさんお疲れ様でした。来年に向けていいオフを過ごしてください。