「愛護」だけでは限界がある…“動物虐待”防止のため「日本の法律」に必要な視点
「適格動物愛護団体」の制度が必要
消費者契約法は「適格消費者団体」、消費者裁判特例法は「特定適格消費者団体」をそれぞれ定めている。 内閣府から(特定)適格消費者団体の認定を受けた非営利活動法人(NPO)は、事業者による「不当な勧誘」や「不当な表示」などを止めるように求める差し止め請求や、多数の消費者に共通して生じた財産的被害について被害回復裁判手続を行う適格性を有する。つまり、不利益を及ぼす企業に対して、消費者に代わって訴訟を提起する権利を持つということだ。 牧野教授は、日本社会で動物保護を実現するためには、適格消費者団体に類する「適格動物保護団体」の制度が必要だと語る。 「現状、日本の動物愛護団体は、動物のために訴訟を起こすことはできません。一方で、私人訴追が認めれているイギリスでは、RSPCA(英国王立動物虐待防止協会)が提訴し、多くの勝訴を得ています。 虐待などの被害を受けている動物を守るためには、刑事訴追を主とする法律的な対応が必要になってきます。そのための資格を認定する『適格動物保護団体』の制度を日本で実現すべきだと考えます。 適格消費者団体の制度は、消費者トラブルに対応すべき国や自治体の人員不足を補うべく、民間の団体に差止請求権等の強い権限を与えたものです。同様に、社会で起こっている動物虐待の問題に対応するために、NPOをはじめとする民間の力を有効活用することも、検討する必要があるのではないでしょうか」(牧野教授)
弁護士JP編集部