選挙が相次ぐ欧州で新たな火種か トルコ閣僚の政治集会参加を独蘭が阻止
クルトゥルムシュ副首相はヨーロッパへの難民流入についても言及し、防波堤としてのトルコの役割を見直すべきかもしれないとも言及。難民問題に頭を抱える西ヨーロッパ諸国の反応をうかがう構えだ。 両国間の溝は、安全保障の面でも大きな不安要素になりうるが、今月から各地で選挙が続くヨーロッパでは、右派政党が早くもトルコの対応を政治利用し始めている。欧州各国の反イスラム感情がエスカレートし、これから行われる選挙に影響を与える可能性は少なくない。 15日に下院選挙が行われるオランダでは、極右政党として知られる自由党のウィルダース党首が「エルドアン政権以上に、オランダの文化になじもうとしない者に怒りを覚える」と発言。トルコ閣僚の入国を許可しなかった政府に対し抗議するオランダ在住のトルコ系移民を激しく批判した。 こうした対立を反映してか、反イスラムを声高に叫ぶ自由党やルッテ首相が所属する中道右派の自由民主国民党の支持率は急上昇。13日の世論調査では、両党の予想獲得議席数がそれぞれ数議席増加する結果となった。
------------------------------ ■仲野博文(なかの・ひろふみ) ジャーナリスト。1975年生まれ。アメリカの大学院でジャーナリズムを学んでいた2001年に同時多発テロを経験し、卒業後そのまま現地で報道の仕事に就く。10年近い海外滞在経験を活かして、欧米を中心とする海外ニュースの取材や解説を行う。ウェブサイト