農林中金ドル債スプレッドが拡大、純損失2兆円規模に増加リスク
(ブルームバーグ): 農林中央金庫のドル建て債スプレッド(上乗せ金利)が拡大した。同金庫は19日、今期(2025年3月期)純損失が従来予想を上回り、最大2兆円規模に拡大する可能性があるとの見通しを示した。
ブルームバーグのデータによると、29年償還予定のドル債のスプレッドは20日に一時95.8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と、前日から約5bp拡大し、ほぼ1カ月ぶりの高水準となった。28年償還予定のドル債は93.1bpと同3bp拡大し、2週間ぶりの大きさとなっている。
農林中金は巨額の含み損を抱える外国債券の損失処理を進めている。今期の純損失は6月に予想した1兆5000億円程度からさらに拡大する見通しとなった。奥和登理事長は会見で、米国のトランプ次期政権の「政策インパクトを巡る不透明感がリスク」だとし、米金利反転に備えて財務健全化を急ぐ考えを示した。
ニッセイ基礎研究所の福本勇樹金融調査室長は、市場では今期の損失額が今後さらに拡大するのではないかという「不確実性が生じている」と指摘。信用リスクが悪化すると、農林中金の債券をポートフォリオに入れておけない投資家が出てくるとの見方を示した。
(c)2024 Bloomberg L.P.
Takahiko Hyuga, Ayai Tomisawa