〈消えた3,000万円〉高齢父の死後、預貯金の消失が判明…二男の嫁が乗り回す高級外車に向けられた、疑惑の視線【弁護士が解説】
長い介護生活では、数千万円単位の預貯金が消えることも
親の死後、親の預貯金が大きく目減りしていることが発覚し、きょうだいの使い込みを疑ってトラブルになることがあります。またこのような相談は、80~100歳の親御さんを亡くした、50代~70代の方から持ち込まれることが多いのです。 しかし、多くの相続トラブルに立ち会ってきた筆者からすると、何年にもわたる介護生活では、2,000万円、3,000万円といった大金がかかってしまうケースもあり、必ずしもあり得ない話ではないと考えます。 今回のケースでは、5年という期間のなか、もともと堅実な性質で、認知症もなく、ほぼ自立して生活できている父親が、果たして3,000万円もの大金を使い果たすことがあるかどうか、その点がポイントになってきます。 結論から申し上げると、このケースでは筆者も二男の使い込みがあると考え、お金の流れを洗って訴訟に持ち込みました。結果、長男の主張が認められています。 しかし、使い込みがあったことが明白だったとしても、訴訟すべきケースばかりではありません。 今回の場合はそれなりの金額であったため、裁判を行う意義はありましたが、使い込んだ費用が500万円に満たない程度では、係争費用の割合を考えると、費用対効果的に得策とはいえないのです。その場合、筆者からも「訴訟まではできません」とお答えすることになります。 記事 『〈介護現場の貧乏クジ〉母の介護で仕事と婚約者を失った二女、使い込みを疑われ長女とバトル…1,000万円はどこに溶けた?』 でも触れましたが、介護負担を親族1人に押し付けるようなことはあってはならないのと同様、疑わしい様子が見える親族がいた場合、傍観することなく、早い段階で関与・対処しましょう。それにより、のちのトラブルを回避できるといえます。 相続人たちの生活状況はさまざまであり、必ずしも平等な負担や関与ができないこともあると思いますが、親族間で情報を共有するとともに、高齢となった親の話にもよく耳を傾け、無理のない適切なサポートを行うことが望まれます。 (※守秘義務の関係上、実際の事例と変更している部分があります。) 山村法律事務所 代表弁護士 山村暢彦
山村 暢彦