NECがNECネツを完全子会社化へ、買い付け価格は1株3250円
(ブルームバーグ): NECは29日、NECネッツエスアイ株を公開買い付け(TOB)で取得すると発表した。TOB価格は1株3250円で、28日終値を21%上回る。買い付け代金は最大約2355億円。NECネツは非上場となる見通し。
発表によると、買い付け期間は30日から12月11日までの予定。NECはNECネツ株の51.36%を実質的に保有するが、それ以外の分について取得する。三井住友銀行からの借り入れで買収資金をまかない、2360億円を限度として借り入れを実行する予定としている。
NECは完全子会社化の目的として、現状の資本関係では機動的かつ積極的な施策を実行するのに一定の限界があると説明。国内の情報通信関連市場は急速に変化しており、対応するためにはNECグループの経営資源を相互活用することが重要になっているという。
具体的にはNECネツを完全子会社化した上で、NECネクサソリューションズを加えた3社でデジタルトランスフォーメーション(DX)需要が本格化する自治体や中堅・中小企業向けのビジネスを強化する。コンサルティングからシステムインテグレートや工事、保守まで提供が可能になり、森田隆之社長は29日の決算会見で「非常にユニークな力を発揮できる事業体になる」と述べた。
NECネツは29日、同日午前11時半に予定していた第2四半期決算発表時刻を延期すると発表。株価は午後上昇に転じ、一時前日比15%高の3080円を付け、ブルームバーグにデータが残る1984年以来の日中高値となっていた。終値は3000円だった。また、決算は午後3時に発表した。
NECネツは情報通信技術(ICT)システムの企画や、保守・運用などを手がける。2024年3月期の営業利益は251億円と、NEC全体に占める割合は1割強にとどまる。
日本企業では資本効率向上や企業統治の改善などに向け、親子上場の解消に向けた動きを進んでいる。NECグループでも親子上場の解消に向けて、2月に日本航空電子工業が自己株式を公開買い付け(TOB)していた。