今年の白鳥翔「とにかく試合に出たい。いつになく出たがりです」荒れ気味のSNSからも成長のヒントを探して堂々たるMVP宣言/麻雀・Mリーグ
今年は仲間に出番を譲らない。そんな意欲が開幕前から出まくっている。プロ麻雀リーグ「Mリーグ」渋谷ABEMASは、連覇のかかる昨シーズン、セミファイナルシリーズで敗退。5年続けていたファイナルシリーズ進出が6年目で途絶えた。各選手が新シーズンに向けて気持ちを新たにする中、白鳥翔(連盟)は「とにかく試合に出たい。いつになく出たがりです」と戦いに飢えている。しかも例年、プラスポイントを作れればと控えめなコメントが多かったが、今期は堂々とMVP宣言。7年目を迎える白鳥は、何かが違う。 【映像】試合開始直後、白鳥翔に突如訪れた役満・地和の大チャンス ―昨期、チームは初めてファイナルシリーズ進出を逃した。個人としてもレギュラーシーズンでマイナス。自己評価はどうか。 白鳥翔(以下、白鳥) 優勝した年はセミファイナルシリーズに進出した段階で、上の2チームとは結構、ポイントが離れた状態でした。その後、セミファイナルで勝って優勝できた、という年でしたが、昨シーズンに思ったのは、レギュラーシーズンから半分持ち越すポイントも結構大事だな、と。今回、セミファイナルが苦しくてポイントを伸ばしきれなくて敗退したので、レギュラーでもっと持ち越せるポイントがあれば、セミファイナルはもう少し楽に戦えたのかな、とすごく感じました。 レギュラーシーズンは個人2ケタマイナスでした。振り返りや牌譜も見ていますが、「最低限、プラスにはできたかな」という年だったので、自分が良くなかったな、という感じです。 ―まさに、優勝を決めたPiratesはひたすら上にいたまま優勝した。 白鳥 セミファイナルにさえ進出できれば、いくらでも捲れるという気持ちで、今までずっとやってきましたが、やはり持ち越せるポイントはすごく大きい。当然、レギュラーシーズンから1ポイントも取りこぼせないと思ってやっていますが、どうしても調子も上がらず、ミスも多かったと思っているので、プラスにできたというより、正直、+100くらいには持っていけた感じでした。 ―プラスに持っていけたというところは、自分のミスなのか、その他の要素か。 白鳥 麻雀は細かいミスも大きいミスも、結果に直結するかは運次第だと思いますが、本当に細かいミスや大きなミスもあって、それが結果に直結してしまった試合が多かった。そこで、しっかりやっていれば、セミファイナルはもう少し楽だったのかな、最後の条件戦も、もう少し楽に戦えたかな、と思いました。 ―ミスをゼロにするのは難しいと思いつつ、減らすことをやられていると思う。ミスが出やすかった傾向は掴めているのか。 白鳥 本当にいろいろな要素がある。例えば、深いところで言うと、 もう少し相手の手牌が見えていれば「あと1牌押せてアガリがあったな」とか。単純なミスで「ちょっとやっちゃったな」みたいなこともあって。それで、本当は1着になれたところが3着だとしたら、プラス50とマイナス10なので、そこだけで60ポイントも違うんですよね、順位点で。だから、トップが大きいルールだけに、取りこぼしてしまった時はめちゃくちゃ大きなマイナスになってしまうので。それが2回あれば、もうプラスなので、大きく響いたかな、という感じです。 ―勝っている時は見ていて楽しいかもしれないが、負けた時のチェックは楽しいものでもないのでは。 白鳥 それは、僕はあまり苦にならないタイプ。負けた時に「ついてなかったな」とは言いたくない。必ずどこかに「こうだったかな」とか、字牌の切順にしても、「生牌から切ったけど、1枚切れの方だと展開が変わっていたな」とか。本当に細かいところを見ていく作業になると思うので、ミスはミスとして受け止めて、という感じです。 あと僕はSNSも結構、見るタイプなので。SNSを見ると、当然ヤジもありますが、「あ、いいことを言っているな」というのもある。そういうところから、僕は結構、参考にしています。 ―麻雀界に限らず、SNSの声は問題にもなっている。そのあたりから「なるほどな」というものを見付けるスキルが高いのでは。 白鳥 僕の長所は、どんな意見でも聞けるところだと思っているんですよ。だから、1回全部見て、「これは違うな」というものの中に、20個に1個くらい「あ、もしかしたら、そうかも」というのがあって。見返して「あ、やっぱりそうだったのかもな」みたいな風に考えるのが好きなんですよね。 ―プロとして、しかもMリーガーとしてプレーしている中で、おそらく雀力は決して高くなかろうという人からのものであっても、それを取り込むというのは謙虚ではないと難しい。 白鳥 僕、謙虚なんですよ。Mリーグの舞台は、自分が麻雀プロとしてやっている上での通過点みたいな感じで見ています。何をもって最強とするかは分かりませんが、自分が将来、最強になるために正直、僕はMリーグを利用している、みたいに捉えているので。もちろん、見てくれている人にいい麻雀だったり、いいプレーを見せて楽しませたいとは思いますが、自分も成長の段階なので、素直に受け入れられるタイプなのかな。 それと、書いている人より、総合的な雀力では僕の方が上だと思いますが、例えば、「攻撃的な面では、この人の方が上だな。いいことを言っているな」ということが結構、ある。素直に聞いてしまうタイプです。 ―「最強」という言葉が出た。「最強白鳥」を目指す上での、今年、ワンステップを目指すところは、どこに設定しているのか。 白鳥 たぶん言ったことはないと思いますが、今年はMVPを狙いたいと思います。いつもは個人で3ケタを目標としていましたが、3ケタとは言わずMVPかな、と。それと去年、うちのチームはマツ(松本吉弘)がMVPを狙えそうなので行ってもらいましたが、今期、いつものABEMASと違うのは、マツはいつも「試合に出たい」という派で、僕と藍子ちゃんと(多井)隆晴は「どっちでも大丈夫。行くんだったら全然、行けるし」というタイプでしたが、僕に関してはめちゃくちゃ試合に出たいと思っていますし、隆晴もやる気があるので、そこが大きく違うかな、という感じですね。 ―MVPを取った人は翌年から強くなる、などと感じるものはあるのか。 白鳥 強くなったというか、バイアスがかかっているのかもしれませんが、「ちょっと怖いな」と。昨シーズンで言えば鈴木優さんですが、やはりプレーにも自信が付いてくると思うんですよ。僕から見ると、優さんの麻雀はリスクも取るが手数も多い。ダメージを受ける時はめちゃくちゃ受ける麻雀に見えますが、その攻撃も自信を持ってやってくるんだろうな、というイメージがあります。ただ、僕はその方法では行きません。違う方法でMVPを取りたいと思います。 ―日向選手が「今年は男子2人が出たがっている」と言っていた。それは昨シーズンの結果を踏まえて、というのが大きいのか。 白鳥 ずっとパイレーツの年だったので。優勝するというのはもちろんですが、とりあえずパイレーツをボコボコにしたいな、というのがまず1個。あとは、結果が出た2年目はふわっとした麻雀でしたが、地盤が固まってきた。去年は負けましたが、負けている間もずっと稽古はしましたし。今年からですが、僕が所属している団体で一番上のA1リーグまで上がって、それも自信になっている。団体でも一番上のリーグにいて、Mリーグでも結果を残したいという気持ちがすごく強いし、「やれるな」という自信がある年です。 ―MVP奪取に向けて、何か特別なことはしているのか。 白鳥 MVPを取りたいという気持ちはありますが、冷静さも保ちたいので、焦らないようにはしようと思っています。開幕からトップ・トップと取らないとMVPは取れないと思ってはいない。そういう意味で、いつも通りを心掛けようというのと、シーズン中、精神的に崩れないようにしたいな、と思っています。僕は結構、左右するタイプだと思っていて。そういうことがないようにしたいです。 ―そのためには何をするのか。 白鳥 とにかく練習すること。自信が付く、付かないは練習量だと思っています。めちゃくちゃ麻雀の試合を見ているし、やっているし。そういうことが自信になって、開幕を迎えたいです。 ―練習で心を強くする。 白鳥 普段、練習していないと、いざ試合が始まって「ヤバい、周りは俺よりも練習しているかも」と思うと、気持ち的に負けてしまうと思っているので。誰よりも練習してきたというのが、自信になって、いい結果になるかな、と思っています。 ―去年、開幕戦に誰が出るというのは直前に決まった。 白鳥 直前ですね。ただ、今年は3人共、出たいと言っているので。 ―立候補はするか。 白鳥 しますね。「開幕日に出たい」という話はしています。できれば1戦目がいいですけど、2戦目でもいいですし。とにかく多く打ちたい。「出してくれれば勝ちます」という感じです。 ―今まで年間で一番多かったのは。 白鳥 僕、30試合はいったことはないですね。MVPに絡めそうな年もありましたが、その年も、そんなに出ていなかった。セミファイナルで多く出たシーズンはありましたけど、優勝したシーズンは調子が良くて。レギュラーからめちゃくちゃ出たという年はなくて。とにかく出たいです。いつになく出たがりです。 ◆Mリーグ 2018年に全7チームで発足し、2019-20シーズンから全8チーム、2023-24シーズンからは全9チームに。各チーム、男女混成の4人で構成されレギュラーシーズン各96試合(全216試合)を戦い、上位6チームがセミファイナルシリーズに進出。各チーム20試合(全30試合)を戦い、さらに上位4チームがファイナルシリーズ(16試合)に進み優勝を争う。優勝賞金は5000万円。 (ABEMA/麻雀チャンネルより)
ABEMA TIMES編集部