デジタルを新たな成長エンジンに ー 岸田文雄氏に聞く【自民総裁選】
国のデジタル化と教育・人材育成
――学校教育のIT化や人材育成など、国のデジタル化に向けた方針をお聞かせください。 岸田氏: これからは、新たな時代の成長のエンジンを考えなければいけません。ここがいわゆる「デジタル」と言われる部分、21世紀の石油と言われる「ビッグデータ」と「5G」をはじめとする最新の技術、これを組み合わせて成長のエンジンにしなければいけません。そして、その成長のエンジンを教育に結びつけた場合に、遠隔教育ということになるんだと思います。機材とか技術だけではなくて、それを指導する人材の育成も大事なことですし、ソフトの開発についてもしっかりそろえていかないと、こうした遠隔教育の実をあげることができないと思っています。単にタブレットを子供たちに全て配ったら成果をあげることができるというものではありません。ソフトや指導する人材、これがセットであってこそ、結果につながる。そういった環境整備をしっかりやらなければならないと思っています。
安倍政権の評価
――安倍政権の良かった所と悪かった所を教えてください。 岸田氏: 安倍政権の7年8カ月、私は大きな成果が上がった7年8カ月だと思います。7年8カ月前の日本がどうだったか、経済は「日本経済六重苦」なんてことが言われました。日米関係も日中関係も、対話すらできず外交崩壊と言われたような時代でした。そこから7年8ヶ月の間に、経済も外交もずいぶん変わった、これは間違いないと思っています。 ただ、付け加えるとすれば、そうして上がってきた成長の果実がどう分配されたかということです。もちろん、大企業や大都市においては、その成長の果実を、しっかりと受けることができた方々もたくさんいます。しかし、中小企業や中間層、あるいは地方については、「いつかトリクルダウンという形で広がっていくんだ」と、ずっと説明してきましたが、地方を歩いてみると、どうもそんなことは実感できないという声に行き当たる、こういった状況です。 この分配の有り様ということについて、今一つ考えてみるべきではないか、こういった課題はあったと思います。