【上白石萌歌】社会人2年目で見出した演技の醍醐味。「セリフに血を通わせるのが俳優の仕事」
加藤さんから見た“もかココ”コンビの印象は?
加藤さんを敬愛する萌歌さんですが、ドラマ放送に先立ち、都内で4月中旬に行われた1・2話先行試写会&記者会見にて、監督本人やほかキャスト陣が、撮影時のエピソードなどを語りました。実は、第4話に登場する青山役の森田 想さんと萌歌さんは、プライベートでも大親友! クランクイン前に台本を読みあい、演技に落とし込むうえでの難しさや悩みをLINEメッセージの応酬で乗り切ったという努力家なふたりの印象を、加藤さんに聞きました。
ー難しいといわれる脚本に果敢に挑んだ“もかココ”コンビの演技はいかがでしたか?(隣には、お互いにぴったりくっつきあって監督のほうをじーっと見つめている緊張した面持ちの萌歌さん&森田さん) 加藤さん:「モリココ(森田さん)は2回目、萌歌ちゃんは初めて演出をやらせていただいたのですが、過去の作品を見て、ふだんの話し言葉が自分と近いので、やりやすいかなと思いました。常に『自分と言語感覚が近い人と一緒にやれるといいな』という思いが常にあるので、ふたりともぴったりだったなと思いますね」 ー加藤さんと何度もご一緒しているという森田さんは、本作に出演されていかがでしたか? 森田さん:「うまくできているか、終始ずっと心臓がバクバクしていました。加藤監督の脚本は、いつもずっしりと重たいんです。特に本作のスタジオセットでは、自分でカメラを見つめながら独白するモノローグパートと、ほかのキャストとの会話するパートの切り替えを終始ハッキリと見せなければならなかったので、『これは今誰に言っているのか? 自分にか? 共演相手にか? カメラの向こうの視聴者にか?』と、セリフを言うベクトルを自分でちゃんと把握しなければならず、すごく難しく感じました。特にカメラを見て話す演技はそうそうないので、演者にとっては非常に重たい作業なんです。でも、演技の正解を見つけ出そうとするのも野暮に感じるし、クローズドな空間のなかで漂う不思議なムードにいい意味で流されながら演じました。そのおもしろさがしっかり映像に残せたと思います」 ーところで、なぜ「滅相も無い」というタイトルなのですか? 加藤さん:「実はそのタイトル自体が、作品の核心を突いたものになっています。僕は、『なぜこのような脚本になっているのか』という背景や思いをつづったディレクターズノートを添付して、台本とともにキャストに配布しているため、今この場でお答えはできますが、そこを説明してしまうと、もはやその視点でしか観られなくなってしまうくらい強力なフィルターになり得ますので、あえてお話ししません。「滅相も無い」理由は、みなさんご自身で探ってみてくださいね」