使いたくなければ、「ノー」と言えばいい…ついに、「Apple Intelligence」で露わになったアップル独自の戦略
待たれる「日本語」対応
アップルは、かなり周到にAI戦略を構築している。それがユーザーの行動に寄り添ったAIになるなら、多くの人にとって有用だろう。 一方、Apple Intelligenceは「今年の夏に英語でテストがおこなわれる」段階であり、開発者に対しても未公開の状況だ。機能やその賢さは、アップル自身のコメントから類推するしかなく、現段階では“実情”が見えづらい。 文章の要約や画像生成といった実際の機能は、他社のAIに似た部分もあり、実際にはどのくらい使い勝手が違うのか、試してみるまでわからない部分がある。 他社も当然、これから年末の新製品シーズンに向けて、付加価値の高いAIの搭載を競い合うだろう。それらの機能が、「各社がアピールするだけの利便性」を生み出し、新しいデバイスを購入するモチベーションにつながるのか否かは、まだ判然としていない。 Apple Intelligenceについては、まず英語版だけが先行公開され、日本語を含む「英語以外の言語」への対応は、2025年以降に随時進められることになるという。日本語への対応はぜひ、英語に続く「第2陣」「第3陣」といった早い時期での実装を望みたい。 アップルはおそらく、「iPhoneがたくさん売れ、重点的に注視すべき国」を優先的に考慮していくことになる。すなわち、アップル製品の売れ行きが、今後の日本市場を左右する……と考えても不思議はない。
ChatGPTとの連携をどう考えるか
アップルが搭載するAI機能は、アップル製だけではない。 今回のWWDCでは、OpenAIと提携し、ChatGPTを使えるようになることも発表された。Apple Intelligenceで情報を処理している最中に、「これはChatGPTで処理したほうがいい」と思われるような内容があった場合に、その処理をChatGPTに移行できる。 ここまで述べてきたように、アップルは「自社で用意したクラウド以外で情報は扱わず、プライバシーに配慮する」という基本姿勢を採っている。だが、情報をChatGPTに送るのであれば、そうした特別な配慮も無意味になってしまうのでは……と心配になるのも無理はない。 ただ、それはやや偏った見方ではある。
