「フレイル」と「骨粗しょう症」の関係とは フレイル予防が骨粗しょう症リスクを下げる?
骨粗しょう症リスクを軽減する方法とは
編集部: フレイルを予防することで、骨粗しょう症リスクにはどのような影響を与えますか? 白土さん: フレイルを予防することは、骨粗しょう症のリスクに対しても良い影響を与える可能性があります。フレイルの予防対策の中心となる、筋力および身体機能の維持向上を目的とした適切な運動・食事は、骨量の維持においても重要といえます。 編集部: 運動が、骨粗しょう症リスクに与える影響について詳しく教えてください。 白土さん: 運動は、骨粗しょう症の発症リスクを低下させる要因の1つです。適切な運動は骨の健康を維持し、骨密度の低下を予防するために役立ちます。 運動により、骨量の減少が抑制されることは複数の研究から明らかにされています。また、骨量の減少のみならず、転倒のリスクや万が一転倒した場合の骨折の危険性も低下することが報告されています。 編集部: 骨粗しょう症を予防するためには、ほかにどのような方法がありますか? 白土さん: 骨粗しょう症の発症予防のためには、若年期(15歳から34歳)のうちに、できる限り骨量を多くすることが重要とされています。また、女性では閉経後に必ず発生する骨密度の低下を抑制することも重要です。 骨量は、思春期から徐々に増加し、20代で最大値に達し、40代前半まで維持されます。この時期に、骨量に対する栄養素や身体活動が有効です。 具体的には、カルシウムの摂取と荷重的な運動(水中<陸上、自重<重錘負荷)の実施が有効です。また、喫煙や過度な飲酒をおこなわないことも有効とされています。
日常生活の注意点を解説
編集部: 一度骨粗しょう症と診断されると、良くなることはないのでしょうか? 白土さん: 骨粗しょう症は、早期の発見・治療が重要です。病態が進行してしまうと、完全に治癒することは難しくなります。 しかし、適切な治療や管理を通じて骨の健康をサポートし、進行を遅らせたり合併症を予防したりすることは可能です。骨量への対策に加えて特に重要なことは、転倒などを予防し、実際に骨折を引き起こさないようにすることです。 編集部: 骨粗しょう症の人が運動をしようと考えた場合に注意すべき点はありますか? 白土さん: 骨粗しょう症の人が運動をおこなう際には、いくつかの注意点を考慮することが重要です。まず、運動を始める前に、必ずかかりつけ医に実施の可否や負荷について相談してください。個々人の状態や健康リスクを考慮して、適切な運動プランを相談しましょう。 また、実際におこなう場合も低負荷の運動や軽度のレジスタンストレーニング(筋力トレーニング)から開始するなど負荷に留意してください。そして、もし運動中に痛みや不快感がある場合はすぐに中止し、かかりつけ医に相談してください。 編集部: その他、フレイル、骨粗しょう症を予防したい場合に、日常生活で意識すべき点やアドバイスはありますか? 白土さん: フレイルと骨粗しょう症の両方を予防するために、日常生活では荷重を意識した運動がおすすめです。ウォーキングなどの自重に加えて、重錘やマシンを用いた筋力トレーニングなどが挙げられます。 また、すき間時間で片足立ちをおこなったり、階段を積極的に活用したりすることもおすすめです。食事では、カルシウムやビタミンD、ビタミンKを含む食事を摂取することを意識してください。 具体的には、魚介類、大豆製品、乳製品、野菜、海藻類、きのこなどが挙げられます。フレイルも骨粗しょう症も早期の発見が重要です。定期的な健康チェックや健康診断を受け、早期に健康リスクを把握しましょう。必要に応じて医師の指導を受けることが重要です。