「フレイル」と「骨粗しょう症」の関係とは フレイル予防が骨粗しょう症リスクを下げる?
骨粗しょう症は「高齢者の病気」という印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか。しかし、実は骨粗しょう症は若年期からの予防が重要といわれているようです。さらに骨粗しょう症の予防は身体的な虚弱状態「フレイル」の予防にも関係しているようです。 そこで今回は、骨粗しょう症とフレイルの関係性と予防行動に関して、鹿児島大学助教で理学療法士の白土大成先生に詳しく解説していただきました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
骨粗しょう症について知る
編集部: 骨粗しょう症とはどのような疾患なのでしょうか? 白土さん: 世界保健機関(WHO)では、「骨粗しょう症は、低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし、骨の脆弱性が増大し、骨折の危険性が増大する疾患である」と定義されています。つまり、骨の量(骨密度)と質が低下している状態です。 また、米国国立衛生研究所(NIH)では、「骨強度の低下を特徴とし、骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患」と定義されており、これらをまとめると骨粗しょう症は、骨の量(密度)と質が低下して骨折のリスクが増大した状態・疾患であるといえます。 編集部: 骨密度とサルコペニアの関係について教えてください。 白土さん: 40歳以上の日本在住の市民における骨粗しょう症の有病率は、男性で3.4%、女性で19.2%といわれています。また、わが国における65歳以上のサルコペニア有病率は、男性で11.5%、女性で16.7%といわれており、どちらも加齢に伴い増加することが指摘されています。 高齢化社会の進展に伴い、両者を併存している(オステオサルコペニア)高齢者が増加していくことが予想されます。骨密度とサルコペニアは、複数の共通の原因(危険因子)が考えられており、多量の飲酒や喫煙、不活動、カルシウムおよびビタミンDの摂取不足などがあります。 編集部: 骨粗しょう症とフレイルの関係について教えてください。 白土さん: フレイルも骨粗しょう症、サルコペニアと同様に、加齢に伴って有病率が増加する特徴を有しています。 また、フレイルを有する高齢者は、そうではない高齢者と比べて、骨粗しょう症を併存している割合も高いことから、両者はそれぞれに関連しあっている可能性があります。 つまり、骨粗しょう症があるとフレイルになりやすく、フレイルがあると骨粗しょう症になりやすいという関係があります。しかしながら、直接的な因果関係については、まだ不明な状況です。