蘭方医緒方洪庵の業績紹介 特別展開幕 岡山県立博物館 直筆書状や肖像85件
江戸後期に活躍した備中足守(現岡山市北区足守)出身の蘭方医緒方洪庵(1810~63年)を顕彰する特別展「緒方洪庵 その生涯と郷土岡山」(山陽新聞社など共催)が18日、同後楽園の岡山県立博物館で開幕した。直筆の書状、肖像などを通じ、感染症と闘った業績を紹介している。 【動画】洪庵の業績を伝える資料が並ぶ 備中足守藩士の家に生まれた洪庵は、江戸や大坂で蘭学を学び、当時まん延していた天然痘のワクチンを普及させるなど日本の予防医学に先駆的な役割を果たした。大坂に私塾「適塾」を開き、福沢諭吉ら多くの門下生も育てた。 大阪大適塾記念センターの所蔵品を中心に、岡山初公開を含む85件を展覧。ドイツの医学書の一部を抄訳した文書「扶氏医戒之略(ふしいかいのりゃく)」は、「病者二対してハ唯病者を視るへし、貴賎貧富を顧ることなかれ」など理想の医師像を12カ条で示す。同じく自筆の「除痘館記録」は、大坂に設立した除痘館で天然痘予防に取り組んだ歩みを振り返っている。 洪庵が足守で1500人余りに天然痘ワクチンを接種したと記す備中の医師の文書など、岡山とのつながりを感じさせる資料も。門下生の丸亀藩医河田雄禎の子孫で歯科医の河田耕治さん(76)=香川県観音寺市=は「現代にも通じる医師、教育者としての心が伝わってきた」と話した。 11月24日まで。10月21、28日と11月5、11、18日休館。