『ライオン・キング』前日譚、ムファサの声を「記憶から追い出さなければならない」新声優起用で求めたこと
超実写版『ライオン・キング』(2019)の前日譚映画『ライオン・キング:ムファサ』を手がけたバリー・ジェンキンス監督が、若き日のムファサ役をはじめとする新声優の起用について語った。 【動画】超実写版『ライオン・キング:ムファサ』予告編 『ライオン・キング:ムファサ』は、シンバの父・ムファサと後の悪役スカーである“タカ”の知られざる兄弟の絆を描く物語。声優も一新され、主人公ムファサ役は、DC「グリーン・ランタン」の新ドラマシリーズ「ランタンズ(原題) / Lanterns」にも出演予定のアーロン・ピエール。タカ役には『エルヴィス』などのケルヴィン・ハリソン・Jrが起用された。
全員がオーディションで決まったという声優について、ジェンキンス監督は「すべては声から始まります。僕はこの映画を5回監督したようなものです。声の役者は2組いました。というのも、キャストが決まる前から絵コンテを描かなければならなかったからです」とコメント。「僕にとって『ライオン・キング』のDNAは、シェイクスピアそのものだと思います。声の質はとても重要でした」と力を込める。
ディズニーのアニメーション版からムファサを演じてきたジェームズ・アール・ジョーンズは、今年9月にこの世を去った。ジェームズからムファサ役を引き継ぐことになったアーロンだが、ジェンキンス監督は「アーロンは彼を記憶から追い出さなければならなかったんです」と打ち明ける。
「なぜなら、この物語のこのキャラクターは王ではないからです。偉大でもないんです。僕たちは、この人物がこれらすべてのものを獲得しなければならない、こういう人にならないといけない、という物語を語っているのです。詩人で作家のオーシャン・ヴオンが、インタビューでこんな名言を残しています。『僕は両方の言語で考えます。母国語と、英語でも書かなければなりません』そして、『その違いはとても素晴らしいんです』『僕の言語では、あなたは単なるものではありません。母親(mother)であるのではなく、育児している(mothering)んです』『あなたは育児という行為をする人です』と言ったんです。僕はこの映画で、(ムファサが)王ではなく、ある意味、王であることの体現者でなければならないというストーリーを描いているところが大好きです」