『ライオン・キング』前日譚、ムファサの声を「記憶から追い出さなければならない」新声優起用で求めたこと
「だからアーロンには『あなたはジェームズ・アール・ジョーンズにただなれるだけではないんです』と言いました。ムファサは、成長するためにこの旅を経験しなければならないんです。恐怖の中で人は縮み、愛の中で人は広がるって言うでしょう。この映画では、ムファサは恐怖の場所から拡大できる場所に行かなければならないと思います」
また、アニメーション版でジェレミー・アイアンズが演じたスカーの若き日を演じるケルヴィンは「ジェレミーのスカーの奇妙さをとても楽しんでいました」とジェンキンス監督が証言する。
「1994年の映画でスカーを演じたアイアンズの白黒はっきりした演技にさえ、傷ついたような質感がとてもあります。そして僕たち全員が、そこに焦点を合わせました。この映画はそういうところに位置しているんです。アイアンズは、たとえ白か黒か、善か悪かという非常に単純な二元論の中で演じていても、とても傷ついているというその中間点に、自らの道を見つけたんです」
ちなみに、イギリス人のアーロンはアメリカ英語のアクセントで、アメリカ人のケルヴィンはイギリス英語のアクセントで声を当てているとのこと。ジェンキンス監督は「それが彼らの個性にぴったりなんです」と振り返っていた。(編集部・倉本拓弥)