オリックス逆転優勝の鍵を握る森脇監督のコメント力
果報は寝て待てか。首位のソフトバンクを追いかけるオリックスは11日の楽天戦を雨で流した。ライバルのソフトバンクは、日ハムに完敗でゲーム差は3.5に縮まり、残り試合がソフトバンクに比べて5試合も多くなった。この9連戦は3勝5敗1分。対楽天戦ではサヨナラ敗戦が2つ続いたが、金子の完封劇で連敗も止め優勝争いに踏ん張っている 「雨天中心はプラスに考えているよ。追う方は試合数が多い方が発奮材料になるんだから」と森脇監督。しかも、ソフトバンクとの直接対決が、まだ4試合も残っているのだから、机上論でも、逆転は可能だ。 森脇監督の試合後の談話にお決まりのフレーズがある。「全力で頑張る」、「上を向く」、「前を向く」……である。とにかく、究極のポジティブ志向だ。10日の楽天戦で悔しいサヨナラ負けをした後でも、「全員で戦って負けた。叩かれて起き上がる強い姿勢を今こそ問われている」と答えた。決して弱音を吐いたり個人攻撃はしない。 なぜ、いつも前向きなんですか?私は仙台で森脇監督に、そう尋ねた。 「選手にコーチが本当に前向きにやっています。ミスもあるでしょうが、それは全力プレーの結果なんです。みんなが頑張っているのに監督が後ろ向きの発言はできませんよ」 ――いろんな監督の下でプレー、コーチをしてきたことで学んだことでしょう。その一人にフロントマン、監督として異彩を放った故・根元陸夫さんがいます。 「根本さんからは、色々と教わり、本当にいい勉強をさせてもらいました。プロである前に、一人の社会人として立派であれと」 ――なるほど。監督は勉強家らしいですね。 「現役時代に腰の骨を折って3か月入院生活をしたことがあって、そのときに英会話の勉強もしましたし、たくさん本も読みました」 ――そういう中で、管理職たる人間は、ポジティブな発言を発信しなければならないということを覚えたのですね? 「おっしゃる通りです。勝ってファンに喜んでいただくことが僕らの使命ですから、全力で頑張ることを怠ればプロ失格なんです。だから、私も監督として、その気持ちを持ち続けます」 ――また全力という言葉が出ましたね(笑)。今後の手ごたえは? 「いい形は見えています。金子、西、ディクソン、松葉、東明の5人がしっかりしていますし、今年は、中継ぎ、抑えが本当にいい仕事をしてくれています。先発では連戦の中でルーキーの吉田も結果を残しました。打線では糸井も怪我を抱えていますが、ギリギリの状態でなんとか頑張ってくれています。ここからチーム状態が上がっていく手ごたえがあります」 ――最後まで逆転優勝をあきらめない? 「ハッキリ言って優勝は意識していません。ここからが勝負。全力を尽くすだけです」 森脇監督は、筆者の直撃を、また“全力”という言葉で締めくくった。