ビル爆破「ずさんな作戦だった」 三菱事件50年、関係者が批判
東アジア反日武装戦線の一グループ「狼」が1974年8月30日に起こした三菱重工ビル爆破事件について、別グループ「さそり」の黒川芳正受刑者(76)が共同通信の文書取材に応じ、8人が死亡、多数の負傷者が出た結果を「失敗だった。極めて詰めの甘いずさんな作戦だった」と指摘した。発生50年となる事件を関係者が批判的に振り返った。 黒川受刑者は三菱事件には関わっていないが、以降75年までにあった連続企業爆破事件の一部に関与。75年に逮捕され、87年に無期懲役の判決が確定した。「さそり」には約半世紀の逃亡の末、今年1月に本名を打ち明けた直後に70歳で病死した桐島聡元メンバーらも所属していた。 文書回答によると、黒川受刑者は三菱事件の直後に「狼」の大道寺将司元死刑囚から事件の説明を受けた。大道寺元死刑囚は(1)死傷者を出すことが目的ではなかった(2)三菱重工がターゲットだったが、旧三菱財閥系全体を意識して「三菱村」の丸の内に爆弾を置いた(3)20分前に予告電話を入れたが通行人の退避に至らなかった―と話したという。