M4 Max/メモリ128GB/1TB SSDを搭載した「MacBook Pro 14インチ」を購入!
これまでM1 Pro搭載「MacBook Pro 14」(メモリ16GB/ストレージ512GB)を使っていたが、3年使用、そしてメモリ16GBではさすがに厳しく、M4シリーズ搭載の「MacBook Pro 14インチ」の発表を待って予約/購入した。SSDは1TBだが、ほかは最大構成で、CPUがM4 Max、メモリが128GB。こうなった経緯も含め、主にベンチマークテスト編と用途編、2回に分けて書いてみたい。 【画像】前面。フチは細いのだが、その分前面カメラは収まり切らずパネルの内側、そして周辺にノッチ。これはさすがに勘弁して欲しいところ ■ 夢の(笑)メモリ128GB! 去年(2023年)あたりまでは、以前記事にしたCore i9-12900にUbuntu 22.04 LTSをメインマシンに使っていたが、その後、サブマシンになっていたMacBook Pro 14インチ(M1 Pro/16GB/512GB)へOLED 27型4Kの「PHILIPS 27E1N8900/11」を接続しメインマシンへ昇格。モニターはMacBook Proの上、つまり上下2画面となっている。 ただこのマシンはメモリが16GBで、通常使う環境を起動した時点でスワップが4~6GBでき、加えてPhotoshopやDockerなどを起動するとさらにスワップ容量が増える。こうした状態を見ていると、32GBのマシンがほしい。そこにM4搭載MacBook Proが発表されたので、買い替えを検討することとなった。 どうせ買い換えるならSSDは1TBへ。一見少なそうに見えるが、書類やコード、原稿はNASへ、画像などあまりアクセスせず、保存的な物はUSB 3.0接続のHDD(RAID1)へ割り当ててるので、MacBook Proのストレージは主にアプリとそれに必要なデータ程度。現状、512GBで収まってるので1TBあれば十分だと判断した。 これを条件とし、M4搭載MacBook Pro 14インチの価格を調べると…… ・M4(10コアCPU、10コアGPU、16コアNPU)、32GB、1TB: 33万8,800円 という構成になった。ところがこの価格は消耗品(20万円未満)の範囲どころか、少額減価償却(30万円未満)も超える。この制度、そもそも円安で価格が大幅に上昇しているに基準は変わらずなので、国は本気で国内のITやAIを何とかしたいなら大幅緩和すべきだろうとは思う。 たった3万8,801円とは言え、30万円以上になると固定資産扱い。もっと上の構成にしても固定資産扱いであるのは同じ。今年(2024年)はAI関連仕事で頑張ったこともあり、+α?程度の金額は何とかなるだろうと思った。 ならば!と、M4 Maxで36GB/1TB(標準構成)を選択して価格を見ると52万8,800円となった。ただしこの場合はCPU 14コア、GPU 32コアで、これを超えるメモリ容量の構成はCPU 16コア、GPU 40コアとなる。 そしてその際の価格だが、48GBで60万3,800円、64GBで63万3,800円、128GBで75万3,800円。M4 Max搭載で最下位と最上位の差額22万5,000円というわけだ。このうち、今のM1 Pro搭載MacBook Proを売れば、10万円程度にはなることが分かっているため、実質12万5,000円。であればいっそ128GB!というのが真相だ(笑)。もちろん大容量VRAMを必要とするAI系をいろいろ試したいと思っていたこともある。 最終的に購入した構成の主な仕様は以下の通り。 プロセッサはApple M4 Max。CPU 16コア、GPU 40コア、NPU 16コア。ランク的にM4、M4 Pro、M4 Maxとあり、現時点では最上位。おそらく来年(2025年)、真の最上位M4 Ultraが発表されると思うので、それまでの暫定だ。 メモリはユニファイドメモリ128GB。この構成でのメモリ帯域は546GB/sと、ちょっとPC用メモリとしては常識外れ的な値となる。参考までにメモリ内蔵のCore Ultraシリーズ2で約136GB/s(LPDDR5X-8533/64bit×2接続)。4倍ほどの開きだ。後編で扱う大規模LLMなどAI系がそれなりに動く仕掛けだったりするので結構重要なポイントとなる。 ストレージはSSD 1TB。AppleのカスタマイズにおいてSSDが異様に高額。上記の説明通り然程大容量は必要無く1TBとした。OSはmacOS 15、Sequoia。 ディスプレイは、3,024×1,964ドット(254ppi)の14.2型Liquid Retina XDRディスプレイ、光沢、最大120Hz。外部出力用にHDMI、Type-C(Thunderbolt 5)×3を装備している。 ネットワークはWi-Fi 6E対応、Bluetooth 5.3。iPhone 16 ProではWi-Fi 7対応なのになぜか本機種はWi-Fi 6Eまで。残念な部分だ。 インターフェイスはThunderbolt 5×3、SDXCカードスロット、1,200万画素センターフレームカメラ、3.5mmジャック、MagSafe 3。 Thunderbolt 5の転送速度は最大80Gbps(Bandwidth Boost時最大120GB)。Thunderbolt 4が最大40Gbpsなので倍速(以上)となる。最近ミニPCでお馴染みOCuLinkは、M.2 SSD用のバスをそのまま外部へ引っ張り出しているので最大64Gbps。それよりも高速だ。なおM4搭載機はThunderbolt 4となるので要注意! 仕上げはスペースブラック、シルバーの2色。サイズ312.6×221.2×15.5mm、重量1.62kg。72.4Whリチウムポリマーバッテリを内蔵し、ワイヤレスインターネット最大13時間。価格は上記した通り。 大昔PC-98など、システム一式揃えると100万円オーバーだったが、さすがにこの価格帯のPCは人生数回しか買っていない(笑)。その価値があるかないかは用途次第と言ったところか。 筐体はM1 Pro搭載のMacBook Pro 14インチとデザインやコネクタの配置などは同じ。そもそも高価なのはプロセッサとメモリ、外観は普通のMacBook Pro 14インチ(笑)。カラーに関しては手持ちがシルバーだったのに対しスペースブラックになっている。ちょとした気分変えだ。 従って、もと設置していた場所で入れ替えれば、ケーブル類も含めなんの変更もなく使えるようになる。重量は1.62kg。何度かM1 Proの方は(撮影現場でPhotoshopも的な)外へ持ち出しているが持ち運べない重量ではない。 前面はフチは細いものの、その分、前面カメラが入らず、パネル内にノッチがあり、そこへ収められている。これはさすがに勘弁して欲しいところだが、画質は良いので痛し痒しと言ったところ。 左側面はMagSafe 3、Thunderbolt 5 2基、3.5mmジャック。右側面はHDMI、Thunderbolt 5、SDXCカードスロットを配置。裏は4角にゴム足のみとシンプルだ。 付属品はACアダプタ(サイズ約78×78×27mm、重量298g、出力96W)とUSB Type-C/MagSafe 3ケーブルのみ。ただモニターのType-C入力が電源供給も兼ね備えているため、このACアダプタを使っていない。 14.2型Liquid Retina XDRディスプレイは、3,024×1,964ドット(254ppi)、光沢ありだがかなり映り込みなどは抑えられている。オプション(2万円)でNano-textureディスプレイにするとさらに映り込みなどを抑えられるのだが、筆者的には見送った。もちろん映りは抜群。 バックライトMagic KeyboardはオプションでUS配列も可能。打鍵感、タッチパッドの滑りなど、良くできており文句なし。サウンドはさすがという感じで多くのWindows用ノートPCとは別次元だ。 筆者の場合、WindowsでもmacOSでもUbuntuでも使えるため、そう言った意味ではマシンは何でも良いのだが、ノートPCの場合、後からディスプレイやキーボードなどが交換できない分、全部が高いレベルで揃っているMacBook (Pro)を選択……となる。 なおシステム設定 > バッテリには電源アダプタ使用時、低電力/自動/高出力が選べ、おそらくプロセッサの動作速度、それに伴うファンコントロールが変わる。デスクトップPC替わりに使っていることもあり、高出力にしているが、今のところファンの音が大きく聞こえることはない。 ■ 桁違いのパフォーマンス! ここからはパフォーマンスチェック。Windows PCとの比較もあるためどちらでも動くGeekbench 6で、Single Core、Multi Core、そしてGPUはOpenCLの値を見たい。 Single CoreとMulti Coreは圧勝。Intel/AMDに対してざっくりダブルスコアだ。余談になるが、前々回ご紹介したZen 4アーキテクチャのRyzen 7 8845HSが健闘している。 言うまでもなくiGPUとしてはそれこそ桁違いの圧勝。ただし対dGPUとなるとGeForce RTX 4060 Ti(16GB)とほぼ同じと言った感じだ。さすがにGeForce RTX 4080 Laptop GPU(=デスクトップ版のGeForce RTX 4070相当)には劣る。 ただこれはOpenCLでの比較と、GPUの機能としては限定的。この結果で、ほかのGPU機能も同レベルとは思わないで欲しい。実際、対GeForce RTX 4060 Ti(16GB)で、FLUX.1 [dev]の生成時間は4~5倍、Joy Captionと言うVLLM(画像から内容をText化)は2倍時間がかかっている。 いつもの「512×768:神里綾華ベンチマーク」だと1分38秒=98秒。GeForce GTX 1080と1080Tiの間となる。GeForce RTX 4060 Ti(16GB)が28.3秒とあるので、FLUX.1 [dev]生成時間比とほぼ一致している(28.3秒x4=113.2秒)。従って生成AI画像目的では、残念ながらM4 Maxは向いていない。あくまでもiGPUとしては桁違いに速いものの、ミドルレンジクラスのdGPUには敵わない。 後編で触れるLLMに関して、Apple Siliconはメモリ=VRAMなので、量子化した200B程度のモデルが動く。しかし生成AI画像はそもそもコア数が桁違いに少なくM4 Max(おそらくUltraでも)では不利。この点、Appleは何か解を持っているのだろうか? たとえば上記したThunderbolt 5は80Gbps。OCuLinkの64Gbpsより速い。以前筆者がやっていたGPU BoxのThunderbolt 5版を作れば、物理的には多分接続できる。しかし、問題はソフトウェア。CUDAドライバ/Toolkitもなければ、CUDA対応PyTorch Buildもない。それ以前に、M4アーキテクチャ的に外部GPUをOKしているのかどうか?も問題なのだが……。いずれにしても、いつまでも放置できないと思うので、そろそろ何だかの発表が欲しいところだ。 SSDはAmorphousDiskMarkで測定した結果を掲載する。シーケンシャルリード/ライトともに6,000MB/sを超えており十分速い。参考までにGoogle Octane 2.0は126,181だった。 さて実際の使い勝手だが、SSD性能が上がった分、何もしても処理が速い。加えてメモリを16GBから128GBへと増えたことでスワップが発生せずアプリ動作はスムーズに。冒頭に書いたように、以前の環境では基本環境を立ち上げただけで既にスワップしており、PhotoshopやDockerなど+αが動きした時の違いは歴然。 しかし、プロセッサやSSDのパワーアップを体感できるのは(Buildも速いが)ここまで。処理的にテキスト系が多く、M1 Proでも十分速かったこともあり、CPUパワーがあり余ってる感じだ(笑)。M4 Maxにしたのは、M4 Maxが欲しかったのではなく、128GBが欲しかったから。その膨大なメモリをどう使うか?現在いろいろお試し中だったりする。 以上のように、2024年のMacBook Pro 14インチは、M4/M4 Pro/M4 Maxを搭載し、メモリは16GB~最大128GB、SSDは512GB~8TB搭載可能な14型ノートPCだ。最小構成では24万8,800円。全部盛り(M4 Max/128GB/8TB/Nano-textureディスプレイ)にすると110万5,800円。同じシリーズとは思えないほどの価格差がある。 筆者はM4 Max/128GB/1TBを購入。メモリ=VRAMを最大にしたのはAI関連をいろいろ試したいから。では実際どのように使っているか?は後編でご紹介したい。
PC Watch,西川 和久