田家秀樹が語る、中島みゆきの名曲をカバーしたコンサートアルバム
ライブが終わった後の拍手をじっくり味わえるライブ・アルバム
流浪の詩 / ハンバート ハンバート 1976年に発売になった2枚目のアルバム『みんな行ってしまった』の中の曲です。ハンバート ハンバートは、1998年に結成された佐藤良成さん、佐野遊穂さんのデュオですね。アルバムに歌詞カード、メンバーからのコメントも載っています。ステージでもそういう話をされていたのですが、想い入れのある曲が多すぎてなかなか選べない。世の中を見つめるみゆき先生の視線に感謝という話をしながら、この曲を歌っておりました。選曲がみゆきさんの特番を組んだりするときにもあまり選ばれないような曲を、本人が選んだりしている。そのへんの想い入れ、曲に対しての気持ち、必然性みたいなことがとてもドラマチックなライブ・アルバムでもあります。次は3曲目、3人目の出演者・半﨑美子さん。曲は「ホームにて」。 ホームにて / 半﨑美子 1977年のシングル「わかれうた」のカップリングでした。アルバムは3枚目のアルバム『ありがとう』。1月17日に2枚のアルバムが発売になって、1枚が『Singles(リマスター)』。もう1枚がこの『歌縁-中島みゆき RESPECT LIVE 2023』。この「ホームにて」は『Singles(リマスター)』の方にも入っています。瀬尾さんが監修して、リマスタリングされたオリジナルのシングルとは情景感がかなり違う。隙間の向こうにいろいろな景色が見えてくる、この曲の良さが立体的に蘇ったという『Singles(リマスター)』なのですが、この『歌縁』の「ホームにて」、いいでしょう。半﨑さんは札幌の生まれで歌をやりたいということで東京に来て、パン屋さんに住み込みで17年、ずっと自主的な活動を続けていた、インディーズそのもののような人で、その間いつも札幌に帰りたいと思っていた。その気持ちが「ホームにて」に表れていますね。 アルバムの何よりも素晴らしいと思ったのは、間なんですよ。歌の間、演奏の間。ライブが終わった後の拍手をじっくり味わえるというライブ・アルバムでもありますね。『歌縁』はなぜこの番組で特集するか。特集しなければいけないか。そもそもはFM COCOLOのプロデューサー、岩尾知明さん、日本の民間放送界の星ですよ。あれだけ音楽に想い入れのプロデューサーは思い当たらないという人なのですが、彼がそもそも2007年にみゆきさんの詞と曲だけでのコンサートをやりたいということで、一回やっているんですね。そのときのタイトルが「FM802 スペシャルレビュー 涙は後ろへ流せ 生きて泳げ」。このタイトルでピンと来られた方、どのくらいいらっしゃるでしょうね。夜会の「24時着0時発」の中の「サーモン・ダンス」の歌詞の一節なんですね。プロデュースが三代目魚武濱田成夫さん。「24時着0時発」にも出演されてましたね。そこから始まっている。「RESPECT LIVE 歌縁」になったのが、2015年でそれ以降はニッポン放送と両方で作ったりしながら回を重ねてきました。この「歌縁」という言葉。これは岩尾さんがつけたんですね。今回の人選も彼がこういう人に歌ってほしいということで選んでいる。そういう必然性みたいなものがすべてストーリーになっている。そんなアルバムであります。 半﨑さんは今回は「紅灯の海」「Nobody is. Right」という3曲が並んでおりまして、誰もが知っているからと言われるとそういう曲じゃありません。それがリアリティに繋がっているそんなアルバムです。4曲目、4人目の出演者・仲宗根泉さん「あした」。