池松壮亮、『海のはじまり』で“静かな葛藤”を体現 津野が水季と築きあげた“絆”
弥生(有村架純)との“不思議な関係性”も重要スパイスに
また、弥生(有村架純)と津野のいびつで不思議な関係性も物語の重要なスパイスだ。2人は“家族”ではなく、“夏の恋人”と“水季の同僚”というだけ。しかしそれでも母らしくなろうとしている弥生を見て、津野は「何でそんな一生懸命っていうか、必死なんですか?」と問いかける。そして話していくうちに、弥生の価値観が水季と似ていることに気が付く。 津野が「南雲さんみたいに一人で決めないでください」と弥生に少し心を開くと、第8話では、今後に悩む弥生が津野の元を訪ねてくる。同じとは言えなくても、水季に対して感じる腹立たしさや羨ましさを共有できること、それが今の2人にとっては最大の救いなのではないだろうか。 夏に水季を奪われてしまったような、疎外感を持っている津野。彼はどれほど水季を慕っていたのか。『海のはじまり 特別編「恋のおしまい」』で描かれるであろう細かな表現を含め、2人が紡いできたかけがえのない時間と、津野の揺れ動く心情一つ一つを丁寧に受け止めていきたい。
伊藤万弥乃